米カリフォルニア州連邦地裁の陪審員団は24日、サムスン電子と米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)とタブレット型端末の関連特許をめぐる訴訟で、サムスンがアップルの特許を侵害したと評決した。9人の陪審員団がサムスンに下した賠償額は10億5185万ドル(約1兆2000億ウォン)。サムスンが主張していたアップルの賠償支払いは認めなかった。米連邦地裁は陪審員団の評決を踏まえ、1カ月以内に判決を下すことになるが、1審の評決が覆る可能性は低く、サムスン側が上訴し、最終的には最高裁にまでもつれ込む可能性がある。
スマートフォンをめぐる韓米2社の販売競争が激化するに伴って、特許権紛争も泥沼化した。今回の米での訴訟は、アップルが仕掛けた。
アップルは昨年、サムスンが自社のデザイン特許とソフトウエア特許を侵害し、25億~27億5000万㌦の損失を被ったとして提訴。これに対しサムスンもアップルが自社の無線通信特許を侵害したとして4億2180万㌦の特許使用料を求め逆提訴した。
アップルに軍配をあげた今回の評決は、サムスンがアップルのバウンスバック特許を侵害し、一部の製品がスクロールとマルチタッチズームとナビゲート特許を侵害したとしている。また、手で写真をめくったり、2本の指で画面を拡大・縮小する機能などもサムスンが模倣したと判断。さらに、サムスンのスマートフォンとタブレット型携帯端末の一部製品は、黒の前面部とベゼル、アイコンなどのデザインも侵害したと判断した。
評決を受け、連邦北部地方裁判所のルーシー・コー判事は、9月中に1審判決を下す予定だ。米国では判事が陪審員評決を覆すケースはほとんどないが、全くないわけでもない。今月13日にスマートフォン「ブラックベリー」を製造・販売するカナダのRIM(リサーチ・イン・モーション)がエムフォーメーション・テクノロジーズ社の特許を侵害したとの評決を、判事が判決で覆し、RIMが勝訴した例もある。
サムスンは1審判決が言い渡され次第、米ワシントンの連邦巡回控訴裁判所に控訴する見通しだ。控訴審の結果に関係なく双方は最高裁まで持ち込み、最終的な確定判決が出るまでは2年ほどかかりそうだ。
また、米連邦地裁は、9月20日にサムスンの一部のスマートフォンやタブレット型携帯端末の米国内販売差し止めの有無を決定する。アップルが提出した販売禁止リストは「ギャラクシーS4G」「ギャラクシーS2 AT&T」など8製品。新機種の「ギャラクシーS3」や「ギャラクシーノート2」は除外されている。このため専門家らは販売禁止仮処分の決定が出ても、サムスンのスマートフォン売上に及ぼす影響は非常に制限的だとみている。
市場調査会社SAの(ストラテジー・アナリティクス)によると、第2四半期(4~6月)の北米地区のスマートフォン販売は、サムスンは600万台(シェア23・4%)だった。
今回の評決を受け、サムスンと同様にスマートフォン用OS(基本ソフト)にアンドロイドを採用している陣営も危機に置かれた。アップルは、グーグルがアップルの技術を盗んでアンドロイドを作ったとして敵視している。
アップルが巨額の賠償金を要求し、攻勢をかければ、世界の携帯電話市場の約70%を占めるアンドロイド陣営全体に大打撃が及ぶことは避けられない。
現在、両社の訴訟は9カ国に及んでいるが、今回の米連邦地裁評決を元に和解交渉をした場合、サムスンに不利になる。当面、自社に有利な判決が出るまで和解交渉には応じない姿勢だ。