先月の米格付け会社のムーディーズに続いて、欧州系格付け会社のフィッチ・レーティングスも、韓国国債の信用格付けを「シングルAプラス」から「ダブルAマイナス」に1段階格上げした。7年ぶりの格上げだ。今回の引き上げで韓国は、日本や中国、台湾より1段階高い格付けとなった。フィッチを含む大手3社の格付けで韓国が日本を上回ったのは初めて。見通しも「安定的」とした。3大格付け会社の残るS&Pがどんな格付けを発表するのか注目される。
フィッチは、格上げの理由として、①欧州債務危機などの不安な対外環境の中でも安定的な経済成長を達成している②政府財政の健全性が高く、金融部門も安定している③構造的問題も改善している――ことなどを挙げた。
特に、「ダブルA」国家の2007~11年の実質GDP(国内総生産)成長率は平均2・7%だが、韓国は3・5%で平均を上回っていると指摘。成長・物価変動性が低いと評価した。また、健全な財政基調を今後も持続し、国家債務が減少すれば、格付けがさらに引き上げられる可能性があると予想した。ただ、個人負債の増大や銀行の健全性悪化、北朝鮮の突然の崩壊などの不安要素もあるとしている。
主要国の信用格付けが相次いで引き下げられる中で、格付け会社2社が韓国の格付けを引き上げられたことの意味は大きい。企画財政部関係者は「ムーディーズとフィッチが韓国の格付けを、信用優良国家を示すダブルAに引き上げたことは、韓国が経済先進国として認められたことを意味する」と語った。
また、今回初めて韓国の格付けが日本を上回ったが、これは両国に対する経済評価が変わったことを意味する。日本は経済の長期低迷に加え、最近は貿易収支も赤字転落し格付けがAプラスまで4段階下がった。一方の韓国は97年の通貨危機直後には「投機的」にまで引き下げられたが、その後14年8カ月かけて12段階引き上がった。
根本原因は国の借金にある。信用格付けは、債務不履行に陥らずに借金を返済する能力を評価するもので、借金が多いほど格付けは下がる傾向にあるからだ。
韓国の国家債務はGDP比34・1%だが、日本は229・5%を占める。経済成長率も昨年は韓国のプラス成長に比べ、日本はマイナス成長だった。特に、日本は少子高齢化による財政負担が大きい。だが、韓国も楽観はできない。経済専門家たちは「格付け会社の格上げを過大評価してはならない。対外信用度が高いという意味にすぎず、韓国も少子高齢化など深刻な問題を抱えており、財政悪化を招く要因は大きい」と指摘、「財政対策を韓日共通の課題としてとらえ、対策を講じていくべきだ」と主張している。