サムスン電子と米アップルの間で1年以上にわたって繰り広げられているスマートフォン(高機能携帯電話)特許訴訟は、両社の応酬がエスカレートする一方だ。最近も、アップルが発売した最新機種「アイフォーン5」に対して、サムスン電子は自社の特許を侵害したと提訴の方針を明らかにした。その最中、ドイツ地裁は特許訴訟でアップルの訴えを退けた。東京地裁に次ぐサムスン側の勝利だ。一方のアップルは、賠償評決を勝ち取った米国での訴訟で、7億700万㌦の追加賠償を求めた。双方、一歩も引かない対決姿勢を強めている。
サムスン電子は、米アップルのスマートフォン「アイフォーン5」に対して「自社の特許を侵害していると判断され、製品を検討後、今年4月に起こした訴訟の対象に含める予定だ」との内容の文書を米カリフォルニア北部地区連邦地裁に提出した。サムスン電子は4月、アップルのスマートフォン「アイフォーン4S」、タブレット型端末「新型アイパッド」やサービスが自社の標準特許2件と商用特許6件を侵害したとして、アップルを提訴している。
サムスン電子は、今回の文書提出について「訴訟よりは革新を通じた市場競争が望ましい。しかし、アップルが訴訟で市場競争を制限している状況下、持続的な革新と知的財産権の保護に向け最小限の対応をせざるを得ないと判断した」と明らかにした。
一方、アップルがサムスン電子を相手に米国で起こした特許訴訟で、「陪審団が評決を下した損害賠償額は、これまでの損害額に及んでいない」とし、カリフォルニア州サンホセ連邦北部地方裁判所に7億700万㌦の追加賠償を求めた。陪審員は先月24日の評決で、サムスン電子に対し10億5000万㌦の賠償命令を下している。
これに対してサムスン電子は、賠償額の減額とともに、公判過程が適切ではなかったとし、再審を求めた。裁判所が公判時間と証人、証拠を制約し、サムスン側が十分かつ公正にアップルの主張に対応できないようにしたと主張している。 同裁判の最終判決は、早ければ12月6日に行われる予定だ。
両社間のスマートフォンの特許訴訟は10カ国で争われているが、最近のドイツでの判決ではサムスン電子に軍配があがった。マンハイム地裁は、アップルがサムスン電子に特許を侵害されたとして起こした訴訟で「(提訴内容に)根拠がない」として、訴えを棄却する判決を下した。
アップルが主張した特許は、スマートフォンの画面に指で特定の文字を入力すると、その文字と関連付けられた付加機能を使用できる「マルチ入力機能」に関するもの。だが、マンハイム地裁は「サムスンがアップルの特許を侵害したと見なすのは困難だ」と判断した。
両社間の特許訴訟は、スマートフォン市場の盟主の座めぐる争いの様相を呈しており、話し合い解決の糸口は容易に見出せそうにない。