現代自動車が総工費7億ドルを投入し、ブラジルに建設中の自動車工場(年産15万台)が完工した。2010年10月の着工から25カ月での完工だ。これで、現代自動車は、北米、欧州、アジアに次いで南米にも初めて現地生産拠点を持つことになった。初めてトルコに海外生産工場(6万台)を建設して以来、この10年間進めてきたグローバル生産ネットワークがほぼ完成した。
現代自動車は9日、サンパウロ州ピラシカーバ市で、ブラジル工場の竣工式を行った。竣工式には現代・起亜自グループの鄭夢九(チョン・モング)会長をはじめ、ブラジルのミシェル・チメール副大統領、サンパウロ州のジェラルド・アルキミン知事ら500人が参加し、竣工を祝った。
鄭会長は「ブラジル工場は5000人の雇用を創出するとともに、現地の部品産業を育成し、ブラジルの自動車産業と地域経済の発展に大きく貢献するだろう」と強調した。また、「今年の生産台数は国内外で705万台に達するだろう」と語った。これは、起亜自動車を含め、当初の年間目標700万台を上回る台数だ。
ブラジル工場は139万平方㍍の敷地に、プレス、車体、塗装など完成車生産に必要なすべての設備を備えている。部品・物流倉庫や車両出荷場などの付帯施設も完備。小型ハッチバック「HB20」を中心に生産する方針だ。HB20はガソリンとバイオエタノールを混ぜて燃料とするフレックス燃料車だ。
今回のブラジル工場完工は、タイミング的にも大きな意味がある。昨年9月、ブラジル政府は輸入車に対して工業製品税を30ポイント引き上げたことで、輸入品価格は25%以上も上昇した。これにより、現代自動車も今年は、9月までに昨年より販売台数が27%減少。現地工場完成で価格面での競争力を確保できることになった。
現代自動車にとって、ブラジルは因縁の地でもある。20年前の1992年、140台の「エクセル」を初輸出したのがブラジルだ。現在は欧州(トルコ、ロシア)アジア(中国、インド)、北米(米国)に続き南米の最大市場ブラジルにも生産工場を持つグローバルネットワークを構築した。
今回のブラジル工場完成で、現代自動車の海外生産比率はこれまでの57・2%から58・6%に高まった。来年にトルコ工場が10万台に拡大すれば、59・5%に高まる。ちなみに、欧米日の主要メーカーの海外生産比率は60~70%を超えている。