小型二次電池市場でトップを走るサムスンSDIが、マレーシアの二次電池工場を大増設し、海外最大の生産拠点として育成する計画だ。計画によると、2014年までに同社の二次電池生産量の3分の1をマレーシアで生産し、価格競争力をさらに強めるというもので、現在リチウム二次電池で28%の世界シェアも今後30%を突破する見込みだ。
朴尚鎭(パク・サンジン)・サムスンSDI社長は、マレーシアのクアラルンプールでムスタビ・モハメド通商長官と会談、今回の増設計画について「マレーシアは政治的に安定しており、熟練した人材も豊富で、経済が発展しているので投資拡大を決定した」と明らかにした。
サムスンSDIは現在、国内で天安(チョナン)と蔚山(ウルサン)、海外で中国・天津とマレーシアの4カ所で二次電池工場を稼動している。クアラルンプールから70㌔離れたセレンバンにあるマレーシア工場は、1990年に建設した同社初の海外工場。もともとブラウン管工場であったが、ブラン管生産の減少に伴い、残りの敷地に二次電池のセルラインを2つ設置、今年5月から生産を開始した。
セルは、二次電池を構成する単位でセル1つないし数個を束ねて一つのバッテリーを作る。生産能力は月間2200万個で、年末には3200万個に拡大する。サムスンSDIは、来年までにブラウン管ライン2つを廃止し、二次電池ラインに代替する計画だ。このため、国内の蔚山工場のライン移転も進めている。
同社関係者は「小型二次電池の国内生産拠点は天安工場に集約し、蔚山は電気自動車用の大型二次電池生産基地に特化する計画だ」と語った。
新規ラインの設置が完了する14年には、マレーシア工場の生産量は年間4億個に達し、サムスンSDI全体の年間生産量11億5000万個の3分の1を超える見込みだ。
サムスンSDIが、海外最大拠点としてマレーシアを選択したのは、地理的な近接さや人件費の安さのほか、実需要者であるサムスン電子が携帯電話のベトナム工場を集中的に育成しており、中国の電子機器受託生産メーカーのフォックスコンもベトナム、インドネシアなどで生産拠点を拡大していることがある。
今年第2四半期(4~6月)の小型リチウムイオン二次電池市場シェアをみると、サムスンSDIが28%でトップ。2位はパナソニックの19・6%。3位LG化学、4位はソニーと続く。リチウムイオン電池は長年日本メーカーが大半を占めてきたが、昨年に韓国メーカーに抜かれ、その差が広がっている。
2000年代に入り、小型二次電池の主流がニッケル系からリチウムイオン系に移る時期にサムスンSDIやLG化学が集中的に育成し、シェアを劇的に押し上げた。パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)、タブレット型端末の需要が急増したことも背景にある。
小型二次電池市場では韓国が急伸しているが、自動車用など中・大型市場では、まだ絶対的強者がいない。サムスンSDIは今後、この分野での競争力を高める計画だ。