韓国の主要企業は、来年は「緊縮経営」「経営体質強化」を基本とする方針だ。輸出は一部回復の動きを見せているが、世界経済の低成長が長期化することは避けられず、多くの研究機関は来年の経済成長率は2%台にとどまるとの予測が多い。このような厳しい環境に備えて危機管理や内実を期すため、多くの企業が「量より質」を重視した経営戦略に傾いている。ただ、不況下でも好業績をあげた最大手のサムスン電子は、来年も2ケタの成長をめざす積極経営を展開するとみられる。
韓国経営者総協会が主要企業272社のCEO(最高経営責任者)を対象に調査した来年の経済見通しによると、現在の景況感は2008年の世界金融危機時より悪化している。
世界金融危機時の危機水準を100とすると、現在はそれを上回る102で、昨年調査時(95・4)に比べ大幅に悪化した。景況感の悪化と併せ、不況の長期化への懸念が反映された格好だ。また、CEOの51・2%が来年を「緊縮経営の年」とし、厳しく臨む姿勢をみせたが、「拡大経営をめざす」との回答も22・3%あった。
サムスングループは、来週初めに開かれるグローバル戦略会議で来年の事業計画を確定する予定だ。大幅な昇進人事を終えた経営陣は「2桁の成長を来年も目標にする」ことで一致している。特に来年は李健熙(イ・ゴニ)会長が打ち出した「新経営宣言」の20周年に当たるだけに、新成長エンジンへの投資なども期待できる。
特にサムスン電子は、①世界トップについたスマートフォン(高機能携帯電話)でアップルとの格差をさらに広げ②OLED(有機発光ダイオード)テレビの5500万台の販売を達成し③史上初の「年間営業利益率15%」を実現する――などの目標を掲げる予定だ。
今年200兆ウォン台の売上げを見込んでいるが、来年は230兆ウォンをめざす。営業利益も35兆ウォン以上を目標だ。サムスン電子に限っては、来年も積極的なグローバル展開が期待できそうだ。
サムスン電子と並び、輸出に勢いがあった現代自動車グループは、来年はやや内実経営に重点を置いた経営戦略を立てている。最近のウォン高など輸出環境の悪化などが背景にある。国内の自動車市場萎縮も拡張路線に歯止めをかけている。系列の起亜自動車の株価がこの8カ月間で28%も下落しているのも気になる点だ。現代自動車関係者は、「来年は事業拡大よりは内実経営に力を入れる経営計画を立てている」と語った。
業績低迷が続いていたLGグループは、来年は本格的な復活の年にすべく、思い切った経営戦略を展開する計画だ。その兆しは見えている。具本茂(ク・ボンム)会長は、「リーディング事業の発掘」と「強い実行力」を求め、年末の世代交代人事に踏み切った。特に、今年はLG電子の営業利益が昨年(2803億ウォン)の4倍を上回る計1兆2000億ウォンを超える見通しだ。
経営体制を再編しているSKグループは、主力企業のSKテレコムとSKイノベーションで「安定」と「成長」をめざす。
この他に、ロッテは海外事業に力を入れ、アジアトップ10をめざす。ポスコは、危機管理を徹底し、高付加価値製品を中心に収益性を高める計画だ。現代重工業は、商船市場が長期不況にあるため、経営体質改善に力を入れる。GSは、系列企業間の人事交流に力を入れ、緊縮経営に徹する。韓進も海運不況などため、緊縮経営に力を入れる。ハンファは、太陽光事業不況などで保守的な経営を進める方針だ。