現代エムコが中央アジアのトルクメニスタンから10億ドルの港湾・造船所開発事業の受注を目前にしている。来月に契約を締結する予定だ。これは、政府が開発途上国を対象に進めている官民の海外港湾開発協力事業の成功事例となる。政府が当該国の港湾開発の妥当性を調査、資金支援も行い、国内建設会社が事業権を獲得するというものだ。

　海外港湾開発協力事業は、政府が２００９年からフィリピン、マレーシアなどＡＳＥＡＮ（東南アジア諸国連合）各国とトルクメニスタン、ガーナ、カメルーン、ホンジュラス、ウルグアイなどを対象に韓国の港湾開発経験を伝授し、国内の建設･物流業界の海外進出を助けるＯＤＡ（政府開発援助）プログラムの一環として進められている。

　海洋水産部と建設業界によれば、現代エムコは競合会社のトルコ企業を抑え、今回の開発事業の受注をほぼ手中に収めた。トルクメニスタン政府が発注したこの事業は、港湾都市であるトルクメンバシの港湾に国際旅客ターミナルとコンテナターミナル、多目的埠頭、造船所などを建設するもので、同国にとって大規模なインフラ建設だ。

　政府関係者は「現代エムコの港湾・造船所建設技術が他の入札企業より優れており、また韓国とトルクメニスタン間の協力関係を考慮すれば、受注はほぼ間違いない」と語った。

　ちなみに現代エムコは11年に１億３０００万㌦規模の修理造船所建設工事を受注した実績がある。

　受注に先立って、トルクメニスタンの副首相が来月初めに訪韓することになっている。

　トルクメニスタンは、天然ガス埋蔵量が世界４位の資源国だ。近年貿易量が増え、新港湾が必要となっているが、港湾建設のための資本と経験が不足しており、開発プロジェクトが遅れていた。

　08年に韓昇洙(ハン・スンス)国務総理（当時）がトルクメニスタン現代化事業のＭＯＵ（了解覚書）を締結し、両国間の協力を公式化した。続いて、08年と09年に同国公務員を韓国に招き、港湾･物流教育を実施するなど人的交流も活発に推進した。09年からはトルクメニスタン港湾開発の妥当性調査を無償支援した。

　政府が海外港湾開発協力事業（全体予算25億ウォン）のうちトルクメニスタンに投入した予算は14億７０００万ウォン。このような少ない予算でも10億㌦の事業受注に結びつけることになった。

　海洋水産部関係者は「現代エムコが今回受注すれば、政府が新興国に先進港湾技術を伝授し、国内企業が開発権を獲得する新たな方式の官民協力が実現するという点で意味がある」と語り、「カメルーン、ガーナ、ホンジュラスなど９カ国でも港湾開発の妥当性調査を進行しており、今後関連受注が増える見通しだ」と明らかにした。