今年の経済見通しは、昨年以上に厳しく、成長率は3%を超えるだけでも健闘という分析まで出されている。政府は当初4%成長を提示したが、下方修正を余儀なくされており、2月の新政権発足を受け、新たな経済政策が打ち出される見通しだ。昨年末までに出された成長見通しによると、韓国銀行をはじめ研究機関のほとんどが3%台前半を予想。韓国経済研究院や韓国金融研究院などは2%台後半と3%を下回った。輸出は今年よりは回復するが、消費と投資の大幅な回復は望めないというのが低成長の理由だ。韓国経営者総協会によると、韓国の主要企業のCEO(最高経営責任者)の半数が今年は「緊縮経営」が避けられないとし、平均2・7%を予想した。新政権は、成長力回復の施策が問われることになる。
韓国銀行は、今年の経済成長率を昨年の2・4%(推定)を上回る3・2%と予想している。上半期(1~6月)2・6%、下半期(7~12月)3・7%と「上低下高」型の成長パターンだ。
上半期までは民間消費の回復が遅れ、設備投資の早期回復は困難な見通し。だが建設投資は非居住用建物と土木建設を中心に緩慢ながら増加するとみている。
下半期からは民間消費に勢いがつき、特にIT(情報技術)を中心に設備投資がめざましく回復すると予想。年間を通じた民間消費増加率は3・0%に達し、昨年の2・0%を上回る。建設投資も昨年の0・2%を大幅に上回る2・9%を記録する見通しだ。特に設備投資は昨年の1・5%から5・0%へと大幅アップが見込まれる。
商品輸出は、増加率が昨年の3・4%を上回る7・5%に達し、やや回復する。商品輸入も2・4%から6・9%に増加する。だが、2011年と比べては依然として低水準だ。輸出入の変数として今年は、昨年末から始まったウォン高がどの線までいくかが注目される。
韓銀は今年の世界経済の成長見通しを3・5%に設定。これを前提に原油導入単価を1バレル=113㌦と予想したが、原油の全量を輸入に依存している韓国にとって、原油価格の動きからも目が離せない。
物価は安定基調が維持される。国際原油価格の安定と消費減少など物価下げ要因があるからだ。今年の消費者物価上昇率は2・7%と予想(昨年推定値2・3%)。今年から2015年までの中期物価安定目標を2・5%~3・5%に設定している。
失業率は昨年の3・4%より0・1ポイント低い3・3%に低下すると予想。就業者数は32万人の増加を見込んでいる。昨年は推定43万人増だった。
国際収支をみると、経常収支黒字が250億㌦に達すると見込んでいる。昨年の場合は、見通しは200億㌦の見通しだったが、実績は推定340億㌦に拡大した。
韓銀は、昨年に消費心理に影響を及ぼした対外不確実性が徐々に緩和される見通しだが、韓国の場合は住宅市場の不振と家計負債などが重なって、回復が制限的にならざるを得ないと分析している。韓銀関係者は「今後、景気の流れは回復が進むと予想されるが、速度は極めて緩慢だろう」と語った。