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2013/04/19

<韓国経済>金利、6カ月連続2.75%で凍結

  • 金利、6カ月連続2.75%で凍結

    韓国銀行は6カ月連続で金利凍結を決定。手前が金仲秀・韓銀総裁

 韓国銀行が、基準金利を年2・75%に凍結した。6カ月連続の金利凍結であり、政府の要請と市場の期待を覆す決定だった。韓銀は今回、景気が底を打ち回復勢にあるので、強いて金利を引き下げる必要はないと判断した。だが、今後不景気が長引けば、金利引き下げのタイミングを逃したという批判は免れない。韓銀は独立性という名分は守ったが、大きな負担も背負い込んだ。

 基準金利は、昨年7月と10月に0・25ポイントずつ引き下げられた。だが、その後は据え置かれたままで、景気活性化のため、今回は引き下げ間違いなしとみられていた。だが、韓銀の金融通貨委員会は昼食抜きで5時間にわたる議論の末、今回も凍結に踏み切った。これは、「国内外の景気が徐々に良くなっている」という判断による。

 金仲秀(キム・チュンス)総裁は、11日の金融通貨委員会が終わった後の記者懇談会で、「経済の成長傾向が現在改善の兆しを見せている」と凍結理由を説明。「いま物価水準は高くないが、国民の期待インフレは依然と高い。物価安定を図り、国民経済の健全な発展に貢献せよという韓銀法1条ほど重要なものはない」と力説した。

 今回の韓銀の決定について、企画財政部などは困惑した反応を見せた。ある関係者は、「韓銀との政策協力が破られたのが国民と市場の経済心理に否定的な影響を与えるか心配だ」と話した。低迷した景気をテコ入れするため、「韓銀の独立性毀損」という批判を押し切って金利引下げを要求してきた玄旿錫(ヒョン・オソク)副総理としては、リーダーシップに打撃を受ける形となった。

 今回の決定を左右したのは、委員らに報告された今年の経済見通しの修正値だった。政府は3・0%から2・3%に大幅に引き下げたが、韓銀は2・8%から2・6%へと小幅修正だった。補正予算編成などのため、政府がやや過度に予測を下方修正したと韓銀は受け止めたようだ。

 会議が長引いたのは、政府の意向なども無視できなかったからだが、景気が好転するとの見通しにほとんどの委員が共感した。「政治的立場を考慮せず経済見通しだけを見て金利を決定すべきだ」という指摘もあった。

 特に、「今の状況で金利を引き下げても特段の効果がなく、実弾だけ浪費することになる」という主張が優勢だった。

 ある委員は「最近、中小企業はもちろん、大企業まで二極化している状況だ。企業の資金調達市場が企業の信用度によって、金利差(スプレッド)が生じる構造であり、優良企業だけが低利で資金を借りられ、それ以外の企業は金利と無関係に借りることができない状況だ。しかも、優良企業は、銀行から借りたくとも、投資先がないため手振りをする状況だ」と語った。

 別の委員は「このような状況で経済を良くするためだといって金利を引き下げても何の用もない。総額融資の規模を確実に増やし、資金調達市場で新生企業に融資するのが効果的だ」と強調した。このような議論の結果、総額限度融資枠が拡大された。

 韓国銀行は、総額限度貸出制度の改編方案を発表し、同制度の融資枠を9兆ウォンから12兆ウォンに拡大した。総額限度貸出とは、韓銀から供給される低金利の政策資金だ。韓銀が低金利で銀行に融資し、銀行は独自調達した資金と合わせて低金利で中小企業などへの融資を行う。

 今回の改編方案によると、創業7年未満の企業のために技術型創業支援の限度(3兆ウォン)を新設し、貸出限度が12兆ウォンに増加。金利も下げられた。これに対して金仲秀総裁は「わが国の経済を先導する『創造型の中小企業群』を育成するためだ。特許権や政府認証技術など高い技術を保有していたり、研究開発費の比率が高い中小企業が対象になる」と述べた。

 貸出金利は、年1・25%から年0・5~1・25%に下がった。創造型の創業企業に選定されれば、0・5%金利で融資を受けられる。専門家らは、今回の改編に対して「韓銀が基準金利を凍結した代わりに取った措置」と解釈している。

 総額限度貸出の改編による景気浮揚効果に対して、疑問視する声もある。これまで総額限度貸出は基準金利の引き下げとともに企業の資金繰りのための補助的手段として用いられ、景気回復のための主要手段にはならなかった。