韓国銀行が今年の経済成長率見通しを2・8%に下方修正した。昨年10月に発表した3・2%を0・4ポイントも下回る。短期間にこれだけの下向き調整をしたのは、景気見通しが予想以上に厳しいことを示す。政府も昨年末に3・0%とかなり低めの見通しを出していた。今回の成長率の大幅な下方修正の理由について韓銀は「今年の世界経済は回復する見通しだが、ユーロ圏の経済活動が不振で、予想より回復が遅れる」と説明した。
今回の成長率引き下げで、韓国経済は昨年に続き2年連続で2%台の成長にとどまる見通しとなった。年間成長率が3%を割るのは、1970年以後、昨年まで5回あるが、昨年を除いた4回はオイルショック、通貨危機、世界金融危機に見舞われた時だけだった。
金仲秀(キム・チュンス)・韓銀総裁は、「昨年後半から経済状況が予想より悪化し、今年の成長率見通しもその分低くなった」と指摘した。
昨年の成長率は当初見込みの2・4%から2・0%に下がったと推定している。第3四半期(7~9月)に前期比増加率が0・1%、続く第4四半期(10~12月)も0・4%にとどまり、7四半期連続で0%台にとどまったからだ。
韓銀は、今年の輸出増加率も当初予想の7・5%から5・5%へと大幅に引き下げた。設備投資も低迷し、伸び率は5・5%から2・7%に半減すると悲観的にみている。これにより、雇用創出も当初予想の32万人から30万人に減少すると予想した。
韓銀は今年下半期(7~12月)から回復速度が増し、来年の成長率は潜在成長率水準の3・8%になると見通した。
このような景気状況にもかかわらず、韓銀は1月の基準金利を2・75%に据え置いた。昨年10月から3カ月連続の金利凍結だ。昨年末に鉱工業生産と小売販売などいくつかの指標が回復の兆しをみせており、米国と欧州の経済が底打ちしたとの分析が出ている。もう少し状況を見守ろうという判断だ。
だが、昨年後半からウォン高が進行、この間10%以上も切り上がった。加えて、最近では日本の円安が進んでいる。さらに、国内外の金利差を狙って外国資本が流入し、さらなるウォン高圧力が加わっている。これまで金利調整は全会一致で決まっていたが、金総裁は「今回の決定は満場一致ではなかった」と述べ、金融通貨委員の中に利下げを主張した委員がいたことを明らかにした。今後の金利引下げの可能性を示すものだ。
証券業界関係者は「成長率予測が下方修正された上、満場一致での据え置き決定ではないため、今後利下げが予想される」と述べた。金総裁も、昨年7月と10月に利下げを行ったことに言及、「基準金利を0・25%引き下げると、1年から1年半の成長率を0・08ポイント押し上げる効果がある」と利下げ効果を指摘している。
一方、韓銀は来年の経済成長率見通しについて、今後下半期に景気回復が進み、3・8%に高まると予想した。