太陽光産業が回復の兆しをみせており、危機に瀕していた韓国のポリシリコンメーカーが一息ついている。価格情報サイトのPVインサイトによると、太陽光発電の核心材料であるポリシリコン価格がわずかながら上昇しており、国内メーカーは再起の機会をうかがっている。
ポリシリコンの価格は昨年末の1キログラム当たり15・35㌦で低迷していたが、今年に入り15・95㌦にまで上昇している。わずかな上昇ではあるが、ポリシリコン→インゴット→ウエハー→モジュール→太陽電池→太陽電池モジュール→太陽光発電へとつながる出発点であるだけに、価格上昇の意味は大きい。
太陽光発電が脚光を浴びていた2008年半ばまでは「第2の半導体」と呼ばれていた。当時のポリシリコン価格は1㌔㌘=250㌦の高値だった。再生可能エネルギーへの関心が世界的に高まっていたからだ。だが、同年秋の世界金融危機で一変した。不況に原油価格下落、さらに最大の需要先である欧州が債務危機に陥り、太陽光市場は急速に萎縮した。
深刻な供給過剰となり、ポリシリコン価格は一気に30㌦にまで暴落、昨年には下落がとまらず15㌦台にまで下げた。その結果、各国のポリシリコンメーカーは相次いで経営危機に見舞われた。
世界シェア30%に達する韓国業界への影響は甚大だった。業界3位の熊津ポリシリコンは親会社の熊津ホールディングスが法定管理(会社更生手続き)申請で工場の稼働を中断した。
2位の韓国ポリシリコンも法定管理申請後、企業再生手続きに入った。4位のKCCも忠南(チュンナム)工場の稼動を止め、売却を検討するなどポリシリコンの供給は大幅に削減された。
最近のポリシリコン価格上昇は、この間の構造調整で供給過剰がある程度収束した結果とみられている。
韓国太陽光産業協会の関係者は「今年、国内のポリシリコンメーカーの生産規模は15万㌧に達する見通しだ」と予想し、「わずかな価格上昇でも実績に直結するので、生産活動は一息つくだろう」と語った。
今後の見通しについては明暗が交差している。世界的に需要回復が見込まれ、特に中国政府が今年の太陽光発電設備計画を予想を上回る10ギガ㍗にすると発表し、業界の期待を集めている。
こうした中、国内業界トップのOCIは新工場建設を中断していたが、市況の回復を注視している。
また、ハンファケミカルとサムスン精密化学は、今年それぞれ年産1万㌧規模の生産設備を完成させ、来年からの本格稼働を予定している。
だが、業況改善までには時間がかかるとの見方もある。業界関係者は「最近の価格上昇は、死活をかけたポリシリコン業界がダンピングに集中した結果、在庫がなくなったからだ」と指摘している。