韓国経済を支える２大産業の看板企業が奮闘している。スマートフォン(高機能携帯電話)旋風を巻き起こしたサムスン電子は昨年、過去最高の実績を記録した。連結基準で韓国企業初となる売上高２００兆ウォンを突破、営業利益も30兆ウォンに迫った。今年も好調は続く見通しだが、グローバル不況の持続で需要予測が不透明であり、投資には慎重を期している。一方、海外市場でシェアを拡大し続けている現代自動車・起亜自動車も共に過去最高の業績をあげた。だが、急激なウォン高で昨年第４四半期(10～12月)から勢いが落ちており、今年は販売拡大のペースダウンが予想されている。

　サムスン電子の昨年の売上高は前年比21・９％増の２０１兆１０００億ウォンで、営業利益は85・７％増の29兆５００億ウォンだった。売上高は２年連続で過去最高を更新。営業利益も、これまで最高だった２０１０年の17兆３０００億ウォンを約12兆ウォンも上回った。

　このような好業績は、ウエートの大きいスマートフォン市場で快調にトップを快走し、半導体も回復し出したのが大きかった。

　特に、ＩＭ（ＩＴ・モバイル）部門は、スマートフォンとタブレット端末の販売好調で売上高が１０８兆５０００億ウォンを記録、サムスン電子の売上高全体の半分以上を占めた。営業利益も19兆４４００億ウォンに達し、全営業利益の65％以上を占めた。スマートフォンは昨年第４四半期だけで６３００万台を販売。年間の携帯電話販売は４億台を突破、世界一をマークした。

　世界的に市況が悪化している半導体部門は売上高が34兆８９００億ウォン、営業利益が４兆１７００億ウォンを記録。特に、第４四半期の業績改善がめざましく、売上高が前期比10％増の９兆５９００億ウォンに達し、営業利益は39％増の１兆４２００億ウォンにのぼった。モバイル機器の普及拡大、スマートフォン向けシステムＬＳＩ（高密度集積回路）の販売増の効果が大きい。

　テレビ・家電部門は、ＬＥＤ（発光ダイオード）テレビの販売拡大、欧米での生活家電の好調などで売上高48兆４５００億ウォン、営業利益２兆３０００億ウォンと好調を維持した。デイスプレー部門も、高付加価値製品の販売が好調で売上高33兆ウォン、営業利益３兆２２００億ウォンを記録。

　今年も好業績を見込まれ、証券業界では売上高２３１兆ウォン、営業利益36兆ウォンを予想している。だが、設備投資については、世界景気の先行きを見ながら「弾力的に決定していく」方針だ。昨年は25兆ウォンの投資計画だったが、実際は22兆９０００億ウォンにとどまった。今年はさらに不確実性が高く、慎重を期している。

　また、為替変動リスクも懸念材料だ。昨年下半期にウォン高で９３００億ウォンの為替差損を被ったが、今年はその額を３兆ウォンと見積もっている。

　現代自動車は、昨年の売上高が前年比８・６％増の84兆４６９７億ウォン、営業利益も５・１％増の８兆４３６９億ウォンを記録し、過去最高の業績をあげた。

　前年に続き業績を伸ばしたが、ウォン高などの影響で下半期（７～12月）には成長の勢いが鈍った。特に、第４四半期（10～12月）は売上高が22兆７１９０億ウォンと前年同期比10・７％増加したものの、営業利益は１兆８３１９億ウォンで11・７％減少した。昨年第２四半期（４～６月）から２兆ウォンを超えていただけにショックは隠せない。収益性の低下は、ウォン高による為替差損や米国での燃費保障問題などの影響が大きい。

　今年も為替リスクは大きいが、現代自関係者は「海外生産が増えており、過去と比べ為替リスクは減っている」として①ブランド価値改善②経常支出縮小③原価構造改善などの対策を打ち出している。

　昨年の世界販売台数は４４１万３５７台で、前年比８・６％増。海外販売が８・３％増と好調だった。これに比べ、国内販売は消費心理の冷え込みや労使交渉の長期化で生産に支障が出て２・２％減少した。

　今年の世界販売目標は４６６万台。中国で97万台、米国で73万４０００台、欧州で41万５０００台を販売する計画で、国内では66万８０００台としている。

　起亜自動車も、昨年は売上高、営業利益とも過去最高を記録した。

　売上高は連結ベースで前年比９・４％増の47兆２４２９億ウォン、営業利益は０・７％増の３兆５２２３億ウォンに達した。だが、第４四半期には売上高は11兆２７７０億ウォンで２・９％増えたが、営業利益は４０４２億ウォンで51・１％減少。現代自動車よりも海外工場での生産が少なく、ウォン高による影響が大きかった。起亜自は昨年、海外市場で前年より７・２％多い２７１万９５００台を販売。中・大型車の販売比率が14・２％に高まった。