大企業のタックスヘイブン(租税回避地)活用是非がにわかに論議を呼んでいる。CJグループがタックスヘイブンを通じて所得隠しをした嫌疑で検察の調査を受ける中、24の大企業グループがタックスヘイブンに設立した法人は125社に上るという資料が公表されたのに次いで、大企業関係者ら資産家がバージン諸島にペーパーカンパニーを設立したことも暴露された。該当企業は「正常なグローバル経営まで脱税と見なされてはかなわない」と反発しているが、脱税や租税回避行為の防止のため、政府の動きも活発化している。
米国などのグローバル企業の多くが税金がかからないタックスヘイブンに法人を設立しており、その数は8万社を超えるという。その中には脱税目的のペーパーカンパニーも少なくないといわれる。
韓国企業も例外ではない。財閥情報専門サイトの財閥ドットコムによると、24の大企業グループがタックスヘイブンに設立した法人は3月末現在125社(資産総額5兆6903億ウォン)に達することが分かった。
公企業を除く、資産1兆ウォン以上の大企業グループについて調べたもので、英領ケイマン諸島、英領バージン諸島、パナマ、マーシャル諸島、マレーシア・ラブアン島、バミューダ、サモア、モーリシャス、キプロスの9地域に設立している。
これらは、OECD(経済協力開発機構)がタックスヘイブンとして指定した地域であり、無税もしくは税率が極端に低いため金融規制を避けて脱税の可能性があるとされている。
特に、ケイマン諸島(18法人・資産総額2兆6490億ウォン)やバージン諸島(77法人・資産1兆6197億ウォン)に集中している。グループ別にはSKがパナマの52法人をはじめ計63法人を所有している。次いでロッテがバージン諸島の9法人を含む計12法人、現代は6つの持ち株会社と海運会社を所有している。
このほかに、東国製鋼6法人、STX5法人、ハンファ4法人、LGと現代重工業は各3法人。サムスンもパナマに電子製品販売法人とコンサルティング会社の計2法人を所有している。
これら125法人のうち1990年代に設立されたのは3法人にすぎず、残りは2003年以降に設立された。財閥ドットコムは「昨年末時点で資産がゼロもしくは売り上げ実績がなかった法人は全体の57%にあたる71社にのぼる。半分以上が活動がない事実上のペーパーカンパニーと推定される」と主張している。
また、オンラインメディア「ニュース打破」は国際探査報道言論人協会(ICIJ)との共同取材結果として、崔恩瑛(チェ・ウニョン)・韓進海運会長らがタックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立したと発表した。
これに対して、該当企業は「関連情報を透明に公開しており、適法な手続きを経て現地法人を設立している。脱税とは無関係だ」と反論している。タックスヘイブンに最も多くの法人を所有しているSKの関係者は「多くが海運業と関連した特殊目的法人。不法資金と関係するものではない」と説明している。
全国経済人連合会は「国内企業が運営中の現地法人は取引相手の便宜を図るため、法の範囲内で設立した場合がほとんどだ。法人を保有していること自体を犯罪視するのは誤りだ」と指摘した。
国税庁は、「タックスヘイブンに法人を設立することは違法ではないが、国内資金がタックスヘイブンを通じて脱税やマネーロンダリングされる可能性があるため、鋭意注視している」との立場だ。
政府は、タックスヘイブンとされる国・地域との租税情報交換協定の締結を急いでおり、最近もバハマ、バヌアツとの租税情報交換協定の批准同意案を国会に提出している。
租税情報交換協定が発効すれば、政府は事業者登録情報や企業の所有権情報、会計情報、金融取引情報など各種租税情報を相手国に要請することができる。相手国の協力のもとで会計帳簿を調べたり、相手国に税務調査を要請したりすることも可能だ。これらの情報は秘密として取り扱われる。
韓国の租税情報交換協定の締結先は、4月現在で17カ国・地域。クック諸島、マーシャル諸島とは発効済み、バハマとバヌアツ、バミューダ諸島とは署名を終えて発効手順を踏んでいる。バージン諸島やケイマン諸島、サモアなど12カ国・地域とは仮署名の段階だ。