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2013/06/21

<韓国経済>サムスン重工業・ナイジェリアから大型FPSO受注

  • サムスン重工業・ナイジェリアから大型FPSO受注

    サムスン重工業が建造した大型FPSO

 サムスン重工業がナイジェリアから30億ドル規模の超大型FPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積出設備)の受注に成功した。当初、受注が有力視された現代重工業を土壇場で制した。サムスン側の徹底した「現地化戦略」が功を奏し、両社の明暗を分けた。

 FPSOは、深海から原油をくみ上げ精製後に貯蔵する海上プラントで、海に浮かぶ石油精製所と呼ばれる。

 今回受注したFPSOは全長330㍍、全幅61㍍、高さ34㍍の大きさで、貯蔵容量は230万バレルにのぼる。これまで世界で発注されたFPSOの中で最大規模だ。

 サムスン重工業は設計から製作、運送、試運転まで一括して請け負うターンキーベースで受注した。2017年下半期(7~12月)に完工、引き渡す予定。ナイジェリア沿岸の200㌔離れたエジナ海上油田の原油生産に使用される。

 エジナ海上油田は原油埋蔵量が5億5000バレルと推定されている。中国海洋石油総公司が45%、フランスのトタル社が24%の持分を保有。09年からトタルが入札審査を開始、韓国以外に米国、フランス、中国、シンガポールの各社が参加したが、当初から現代重工業とサムスン重工業の一騎打ちになると見られていた。特に、現代重工業は発注を担当しているトタルからこれまでに2基のFPSOを受注しており、ナイジェリアで陸上プラント工事を進めた経験も多い。

 予想通り、トタルは昨年上半期(1~6月)の段階で「現代を交渉対象者に選ぼう」と油田事業承認権を持つナイジェリア国営石油公社に提案していた。だが、本契約が延び延びになる中、雰囲気が変わってきた。同公社とナイジェリア政府までがサムスン側に傾き始めた。サムスンの「現地化戦略」がナイジェリア政府を動かしたのである。

 サムスン重工業はナイジェリア企業と合弁で現地に生産拠点を構築し、FPSOの上部部分をそこで製作すると提案した。また、現地企業から必要な部品と設備を購入する計画を明らかにした。ナイジェリア政府としては当然、生産と雇用効果が大きいことに好感した。

 サムスン重工業関係者は「職員が製作能力を備えた現地パートナーを探すため、銃声が飛び交う紛争地域まで直接訪れる姿に、ナイジェリアの政府官僚たちが感銘を受けたようだ」と語った。サムスンは、世界のドリルシップ占有率1位の海洋プラント競争力を備えている点も強調し、積極的に売り込んだ。

 ナイジェリア政府は今年初めサムスンを選ぶ方針を決めた。これを聞いたトタルは「技術検証を受けた最低価格入札者の現代にすべきだ」と反対した。しかし、ナイジェリア政府は最終的にサムスンの手をあげた。

 造船業界関係者は「トタルは事業パートナーの現代重工業を最後まで推したが、事業承認権を持つ政府決定を覆せなかった」と語った。

 朴大永(パク・デヨン)・サムスン重工業社長は「最高の技術力を土台に海上プラント市場をリードしていく」と語った。同社は今月だけで、英国の石油掘削企業のエンスコから掘削船1隻(5億1500万㌦)、ノルウェーの石油・ガス大手スタトイルからジャッキアップ・リグ(大陸棚の油田開発用の掘削装置)2基(13億㌦)も受注しており、年初からの受注額は78億㌦にのぼる。年間受注目標は130億㌦。

 現代重工業関係者は「既に結果が出たプロジェクトに受注戦略を再論するのは意味がない。他の大型プロジェクトで挽回するしかない」と語った。