韓国電力公社が、英ムーアサイド原子力発電事業の優先交渉対象者に選ばれた。従来の事業者であるニュージェネレーション(ニュージェン)の全株買収を内容とし、事実上の原発事業権の獲得だ。ニュージェンは東芝の全額出資の英国子会社だが、東芝が海外の原発事業から撤退するため株式売却に出た。中国企業も買収に名乗りを上げていたが、技術力を評価された韓電が最終的に勝利した。
ムーアサイド原発事業は、英リバプール北側のムーアサイドに3基の原発を建設する150億ポンド(22兆㌆)の超大型事業。韓国が原発を輸出するのは2009年のUAE(アラブ首長国連邦)以来8年ぶりで、先進国に建設する最初の韓国原発となる。
韓電は2013年から英原発事業への参加を進めてきた。優先交渉権を獲得しただけで、最終的に原発の受注が確定したわけではない。予備妥当性調査のほか、英国政府の承認も必要だが、覆る可能性はほとんどないとみられている。韓電は、来年上半期(1~6月)中に譲渡契約を締結し、2030年完工を目標に工事を始める計画だ。
英ムーアサイド原発事業は当初、日本とフランスの合弁事業だった。東芝とフランスのエンジーが6対4で出資してニュージェンを設立し、事業を受注した。19年着工が目標だったが、東芝が米国の原発事業で数兆円台の損失を出して頓挫。ウエスチングハウスが破産申請をするや、エンジーまでが40%の保有株を東芝に譲って撤退した。
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