「カルってどんな映画。友だちと一緒に見に行こうと思うんだけど」▼専門学校生の娘が聞いてきた。彼女の学校でも韓国映画が話題になるケースがあるようだ。超ヒット作「シュリ」効果なのだろうが、今度はどんな映画なのか楽しみにして不思議はない。カルはそんな期待に沿う映画だ。「怖い映画だから絶対一人でみてはいけないよ」と忠告はしといた。
▼「カル」は、人気俳優のハン・ソッキュ(刑事)とシム・ウナ(容疑者)が猟奇殺人事件に挑む異色のサイコスリラー。この種の映画はハリウッドが得意とするが、どうして「カル」はハリウッド映画を超える迫力と緻密な筋立てだ。
▼いい映画は話題を呼ぶ。聞けば、ロードショー上映10日間で観客は5万人を超え、興行収入は 8000万円近い。上映館も最初の33館から48館へと増えている。12月には話題作の「春香伝」、来年には東京映画祭でも人気を博した「燃ゆる月」が控えるなどメジャー級の韓国映画が目白押しだ。
▼新聞の映画広告欄をみると、ロードショー上映されている韓国映画が1本や2本でない。「カル」「美術館の隣の動物園」「ペパーミントキャンディー」「グリーンフィッシュ」「大白山脈」と何本も並ぶ。いままで、こんなことはなかった。韓国映画が大衆的に浸透し始めたことを証明するものだろう。
▼一方の韓国でも日本映画ブームで、120万人の観客を動員した「ラブレター」をはじめ、「鉄道員」「シャルイ・ウィ・ダンス」「踊る大捜査線」などがヒットした。映画の与える影響は大きいだけに、注目したい現象だ。(V)