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2000/10/13

<随筆>◇韓国の学術と文化◇

 「狭い国土に同一民族として3000年の歴史を築いた韓半島は、国土全体が博物館だ」。これは韓国の美術評論家ユ・ホニョン氏の言葉である

 ▼ユ氏は”博物館の韓半島”をくまなく歩いて、各地の寺や仏像、鐘、碑、庭園などの文化遺産の美しさを写真と文章で紹介した「私の文化遺産踏査記Ⅰ、Ⅱ」を93年に出版。大きな反響を呼んで、一大ベストセラーとなった

 ▼アジアの比較文化が専門の田中優子・法政大学教授によると、韓国ではアイデンティティーを模索する動きが、90年代初頭から起きている。そのため自国の歴史や文化を見直す書籍の出版が、大幅に増えているそうだ

 ▼田中教授は現在、「韓国の学術と文化」シリーズ(法政大学出版会)の監修を行っており、シリーズの一環としてその踏査記が翻訳出版された。新羅文化の全盛期に作られた「エミレの鐘」など韓国文化のすばらしさを改めて実感出来る内容だ。一読してルーツに対する関心がより高まった気がする

 ▼田中教授は「日韓友好を考えるとき、隣国で何が読まれているかを知ることは大切。専門書はなかなか日本で紹介されないので、この機会に日本の人も在日の人も、じっくり読んでほしい」と話された。今後は、日本植民地時代のソウルの人々の実生活を紹介した文献などの出版を計画しているそうだ▼読書に親しむ秋の夜長、一読してみてはいかがだろう。(L)