握手は親しみの情を示すものだが、今回の訪日で金大中大統領は400人以上と手を握り合う「握手外交」を繰り広げた
▼22日昼前に羽田空港に到着した金大統領は、休むひまもなく、都内のホテルで文化人、在日韓国民団幹部、経済人との懇談会を連続的にもち、参加者一人一人と握手を交わした。懇談会場入り口に夫婦で出迎え握手する姿は、ほほえましかった
▼特に、経済人との懇談会では、大統領の真摯な受け答えが参加者に好印象を与えたと思う。韓国に合弁会社を持つ東レの飯島英胤副社長が、約束履行・経営の透明性、労使関係などについて、かなり厳しい質問をしたが、金大統領はこのような質問にも真正面から受け止め、1つひとつ丁寧に答えた
▼「労使関係も大変化している。例えば、97年に労使紛争のため戦闘警察(機動隊)が発射した催涙弾は13万3400発にのぼったが、98年は3000発に減り、今年はまだ1発も撃っていない。労働運動に対するかつてのような弾圧がなくなり、暴力的な行動が国民的支持を得られなくなくなったからだ」
▼まるで韓国労使政策の講義を受けているような錯覚にとらわれた。聞くところでは、このような問答は当初の予定になかった。儀礼的な懇談会にしたくないという金大統領の強い考えによるものだという。これに対して、セールスマン外交という評があり、国内に難題が山積しており、外交で得点稼ぎするためのパフォーマンスだとの指摘もある
▼だが、まだいろいろと懸案がある韓日関係の友好親善増進に向け、最善を傾けているとの印象を受けたのは記者一人ではないと思う。(V)