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2001/12/14

<随筆>◇カルロス・ゴーンと在日◇

 ブラジル生まれのレバノン人で、フランス国籍を持ち、日本に住む。

 この人物は日産をわずか2年で再建したカルロス・ゴーン氏で、半自伝的エッセー「ルネッサンス」(ダイヤモンド社)がベストセラーになっている。ゴーン氏は老けて見えるが、まだ47歳の若さで、その辣腕ぶりには驚かされる。

 彼の成功は何に起因しているのか。ほかの経営者と何が違うのか。最も特徴的なのは、移民の子で多様な文化的環境の中で育ち、物事の既成概念にとらわれない柔軟な発想の持ち主だということだ。

 レバノンは、大国に囲まれた小国で、宗教の対立から戦争が起き、多くのキリスト派が海外に移住した。ゴーン氏も祖父の代にブラジルに渡った経歴を持つ。どこかしら、植民地支配や南北分断の悲劇を経験し海外移民の多い韓国と共通点が多い。

 レバノン人は、外国に住んでいても子女をいったん祖国に帰し、そこで教育を受けさせる習慣があり、教育熱心な点も韓国と似ている。

 日本を活力ある社会に変えていくには、ゴーン氏のような多様な文化的背景を持つ人物が必要ではなかろうか。そういった意味で、在日韓国人が日本社会で活躍する場が増えることを期待したい。(H)