在日２世の美術品コレクター、河正雄さん（62）が韓国の光州市立美術館名誉館長に就任した。大変素晴らしいことで在日の栄誉である。

　河さんは、30年以上にわたって美術品を収集、特に在日絵画に関しては最大のコレクターのひとりだ。その集めた美術品のうち６８３点を光州市立美術館に寄贈、本国の文化・芸術発展に大きく貢献したと評価された。

　同美術館内には河正雄コレクション記念室が開設されており、広く市民の間で「在日文化人が集めた美術作品」として親しまれている。ピカソ、シャガール、ミロ、ダリらの作品も多数含まれている。

　本紙への寄稿で、青春時代のすごした秋田・田沢湖町の「わらび座」公演を実現したことも振り返り、韓日文化・美術交流の懸け橋になるとの気概を示した。韓国内で「メセナ実践の人」と紹介されたのもなるほどと頷かれる。

　在日社会はこれまで、文化的な活動に対して十分に目を向ける余裕がなかったといわれるが、河さんの活動をみれば決してそんなことはない。コツコツと陶磁器を収集、自宅脇に展示館を建てた人の顔も浮かんでくる。

　在日の文化振興のため、河さんのさらなる活躍を期待したい。（Ｖ）