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2001/08/24

<随筆>◇歴史に触れる旅◇

 歴史教科書や小泉首相の靖国参拝問題にもかかわらず、若者たちの韓国旅行人気にはそれほど影響がないようだ。

 韓国ツアーは相変わらず食事やショッピング、エステ目当ての人が多いようだが、ぜひ行ってみてもらいたい場所がある。

 韓国・天安にある独立博物館とソウルにある西大門歴史記念館だ。独立博物館は82年の教科書問題がきっかけで建設された建物である。日本の植民地支配に抗して戦った独立運動家の足跡や遺品が数多く展示されており、韓国の現代史がよくわかる。

 もう一つの西大門歴史記念館は、独立運動家が投獄された西大門刑務所の監房跡が保存されている場所だ。独房に漂う冷たい空気、手錠や拷問道具などの遺品に接すると、植民地支配の残酷さというものが伝わってくる。

 先日の朝日新聞でトラベルデザイナーのおそどまさこさんが「歴史認識・鎮魂の旅をすすめたい」との文章を寄せ、「例えば特攻平和記念館や舞鶴の引揚記念館を訪れ、若くして死んでいった人たちの手紙を読んで、戦争の狂気を知ってほしい」と書いていた。

 まったくその通りで、韓国の歴史記念館を訪れることで、韓日の歴史認識のギャップはどこから来ているのか身近に感じ取れると思う。(L)