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2001/03/16

<随筆>◇薩摩焼テーマに韓日合同演劇◇

 薩摩焼400年を題材にした韓日合同演劇が、いま都内の三百人劇場で上演されている。

 劇のタイトルは、「火計り―400年の肖像」。朝鮮陶工の子孫である日本人青年が、失われた朝鮮陶磁の復活を夢見る韓国人女性と出会う中で、自らのアイデンティティーを見つめ直す姿を通して、韓日400年の歴史が何であったのかを考える芝居である。

 薩摩焼は、鹿児島県東市来町の美山で誕生した。豊臣秀吉の朝鮮侵略時、薩摩藩主・島津義弘によって同地に連行された朝鮮陶工たちが始めたものである。3年前の98年には「薩摩焼400年祭」が当地を中心に開かれ、朝鮮陶工の子孫の一人である第14代沈寿官さんが、韓国で採火した炎を、日本まで船で持ち帰った。

 400年前に連行された先祖が陶土と釉薬は持ってきたが、火は持ってこれなかった無念をはらすために行ったもので、火は東市来町に設けられた祭壇に点火され、同祭は成功裏に終わった。当時、取材をしてみて、400年前の歴史の傷みが、今も続いていることに何ともいえない感慨を覚えたものだ。

 演出の孫ジンチョクさんは、「劇を準備し稽古する過程で、同一の歴史、事件に対して韓日双方の間で見解が異なることを再認識した。相違を確認し、そして隙間を埋めるために双方が労力を注いだことは、大きな成果だった」と語っている。

 現在、教科書問題で韓日間は揺れているが、双方の溝を埋めるためにも、歴史認識を共有する作業が必要だと思う。(B)