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2001/01/12

<随筆>◇「萩焼400年展」◇

 日本を代表する焼き物の一つである萩焼の歴史を紹介する「萩焼400年展」が東京・赤坂のサントリー美術館で始まったので、さっそくのぞいてみた(2月12日まで)。

▼萩焼といえば、九州の有田や高取、薩摩、上野などと同様に豊臣秀吉の朝鮮侵略(1592―98年)の際、日本に連行された韓国人陶工を始祖としている。李勺光と李敬(勺光の弟との説もある)が現在の山口県萩市に毛利藩の藩窯(御用窯)を開いたのが始まりだ。

▼萩焼は、過剰な絵付け・装飾表現を避け、その肌合いの多様さと窯の中で生じる炎の創造力に主眼をおくのが特徴といわれる。展示された74点は、素朴な中にも気品と完成された美があり心を奪われた。「一楽、二萩、三唐津」といわれ、茶陶として評価されるゆえんだ。

▼萩焼は、現在でも朝鮮朝前期の様式を濃厚に伝承しており、日本の中では韓国の影響が最も表れている陶芸だと思える。作風が400年も受け継がれてきたことには改めて驚かされる。

▼この展示会は昨年パリでも開かれ、“韓日で完成した”陶芸の粋がパリっ子をうならせたという。そういえば、東京の会場には外国人も訪れ、韓国への侵略がきっかけとなって生まれた萩焼の歴史にも興味を示していた。

▼歴史的経緯はともあれ、韓国の陶芸技術が日本に移入し芸術として花開いたことを思うと、文化交流の大切さを思う。(T)