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2002/01/25

<随筆>◇歴史の教え方◇

作家で精神科医のなだいなださんが、とても興味深いことを書いていた。

 ある講演で結論から話し、なぜ、その結論に立ち至ったのかをさらに説明したが、それが結構受けた。歴史も現代という結論から遡って教えたらどうだろうか、という内容だ。

 なだ氏は「学校での歴史教育は、古代から始めて、現代に向けて行われる。だが、実際の授業は現代まで届かない。ぼくたちの時代もそうであったが、後輩に聞くと、いまも変わりはないようだ。(中略)こうして若者に古代史オタクと現代史オンチが並行して増えていくのだ」と指摘。

 「日本の歴史教科書検定や選定をめぐっての、中国や韓国とのトラブルを出発点のひとつとして、そこから日本の現代史を、さらに明治維新まで遡って教える。だれかやってみるものはいないか」と推奨している。

 歴史を教える先生たちはぜひ、試みてほしい。私たち日本の学校に通った在日も、ほとんどが小中高を通じて歴史の授業で現代まで教えてもらえなかった。それで、日本が韓国をなぜ植民地統治したのかを知らずに社会に巣立った級友も少なくなかった。

 米国での論文は結論から書く。あとの叙述はその結論に至った理由の説明だ。結論が大事であるように、私たちの現実にも影響を及ぼす近現代の歴史事実を知ることは古代の事実以上に大事だろう。(Z)