先日、広島でセミナーがあって行ってきました。その際、おみやげに「おこげアメ」と「かぼちゃアメ」を持っていって喜ばれた。有料セミナーで聴衆も百人ほどということでそうしたのだが、仁川空港の売店で売っていたので助かった。
一同、韓国特産のアメをなめながら、緊張をほぐして朝鮮半島情勢のお勉強となった。ぼくはこういうスタイルが好きで、よくこんな感じでやる。
ところで韓国の観光公社が毎年やっていることで、国内での観光おみやげ品の品評会というか、新製品を公募して賞を出すというイベントがある。ときどき審査委員に呼ばれるのだが、今年も先ごろ行われ、数百点にのぼる「おみやげ試作品」を審査した。一日がかりでかなりな作業だ。
おみやげ品だから小さな工芸品が中心で、各地から出品がある。その中に数は多くないが食品もあって試食できるようになっている。たとえば先年、缶入りの「トウガラシ・ジュース」という試作品が出品され、ぼくはいい点をつけたのだが、後で聞いたところでは残念ながら商品化はされなかったという。
今年の出品されていた食品の中では「にんにくアメ」が面白かった。こいつをなめていれば「新型肺炎」にもかからないし、精もつくだろうと思い、いい点をつけておいた。
ただニンニクの「香り」が若干、少ない感じがした。元気が出るためには「ニンニクを食った」という気分がなくてはいけないので、成分の配合に工夫がほしい。
そのほか済州道の「みかんチョコレート」など、これまでなかったのが不思議だ。これも努力を買って、一応は合格にしたが、緑茶を使った「緑茶アメ」はぼくら日本人には平凡すぎる。国内向けにはともかくとしても、日本人観光客には売れそうにない。
さらに韓国らしく「ニンジン羊かん」というのがあった。羊かんに小ぶりの高麗ニンジンをそのまま入れて固めたものだ。ニンジンが入っているのが分かって楽しい(?)商品だが、味はいまいちだ。ニンジンの青臭さが羊かんにはちょっと合わない感じだった。
酒もいくつかあって、ぼくがいい点をつけたのは江原道の「モル酒」だった。「モル」が分からなかったが、ほかの審査員達に聞いて「山ブドウ」と分かった。黒っぽい小さな実でブドウ酒風に作ったものだ。あれはいける。今や全国人気になっている全羅北道・高敞の山イチゴを使った「覆盆子酒」に対向できるかもしれない。
ところでこの品評会での作品もそうだが、韓国は日本とちがっておみやげ品に食品系が少ない。日本人だからとくにそう思うのかもしれないが、地方ごとの「○○モナカ」とか「○○まんじゅう」といったたぐいのものがないのだ。韓国人の審査委員とも話したのだが、板門店の〝安保まんじゅう〟とか独立記念館の〝安重根モチ〟といった発想(!)がぜひほしい。
くろだ・かつひろ 1941年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。共同通信記者を経て、現在、産経新聞ソウル支局長。