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2004/04/09

<随筆>◇ストレス解消法(ヘソポプ)◇ 田口 亮一 韓国ヤクルト共同代表副社長代行

 木蓮が白い花を咲かせ、ケナリ(連翹)が黄色の蕾を見せ始めチンダルレ(ツツジ)がピンクの花を開かせ始める今日この頃、季節は誠によろしい季節となったのにまァ韓国を始め内外の騒がしいこと騒がしいこと。

 台湾では総統選挙の結果云々での大騒動、日本では国会こそ2004年度予算確定で一段落ついたものの中国人の魚釣島不法上陸で一騒動、そしてご当地韓国では数ヶ月に亘る大選当時の不正資金暴露合戦の末大統領弾劾決議に始まる野党の内紛と選挙戦と云う按配で、しばらくは神経の休まる暇がありません。

 事実私の韓国の友人は一週間マレーシアに出張して韓国の報道から遠ざかっていたので、「本当にスッキリした」と明るい笑顔でソウルに帰って来ましたから。

 さて、皆さんこんな時我々サラリーマンとしては事態を深刻に考えることもよろしいでしょうが、そちらの方はサンケイの黒田先輩他専門家の皆さんにお任せしておいて、おいしい物でも見つけて焼酒をかっくらってストレスを解消することにしましょう。

 と云うことで今日ご紹介するのは知る人ぞ知るソウル江南の焼肉ホルモンの名店「コムパウイ」(熊の岩)と云う店です。

 江南の名所コンチネンタルタウンの真前、報恩寺横の路地にあるのですが、この店はとにかく、この道(ミノホルモン道)ひと筋に5代続いていると云うソウルでは珍しい老舗店です。

 テレビドラマ「冬のソナタ」のヒットで日本でも大ブレイク中の女優チェ・ジウさんも時々顔を出すと云いますから、ファンの方はチャジュカボセヨ(足繁く通って見て下さい)。 さて、この店のウリは何と云っても厚さ2㌢はあろうかと云うミノです。 当地では「ヤン」もしくは「ヤンクイ」と云いますナ。

 これをアラ塩ごま油か当店自慢の秘伝タレに交互に漬けて喰らうと、本当にビールと焼酎がすすみ至福の時です。 私も凝り性で約10年前この店を見つけて以来、確実に土曜の昼は家内と訪れるようにしており、数少ない夫婦の会話の貴重な時間ともなっています。もちろん店でもタンゴルソンニム(得意客)として大きな顔をしています。

 ミノの他、ホルモンつまりコプチャン・アンシム・トゥンシム・カルビサリなどフツーの肉の炭火焼きも絶品です。その秘密はモニモニヘド(何といっても)光州の牧場から一日一回直送という肉の新鮮にあるのでしょうね。そしてマジマク(最後の〆は)例のテンジャンチゲとごはんとキムチの定番。
 このグツグツ煮えたぎるテンジャンチゲは、ソウルに住む幸せをつくづく実感させてくれる極上の旨さで(但し50歳以上の人だろうナァ、この旨さが分かるのは)キムチ・カクテギとまったく気に入らないものがありません。

 そしてBEERと焼酎のほろ酔加減に浸る時、浮世の悩みはモードゥ(ゼ~ンブ)吹っ飛び来週からも何とか頑張ッちゃろか、と云うヒミ(力)が沸いてくるのです。さて皆さん、本当に美味しいものを食べてそれに合った酒をたしなむ事で元気を回復しましょうね。


  たぐち・りょういち  1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。