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2004/01/23

<随筆>◇「独島(ドクト)は我が領土(ウリタン)」かな?◇                                                                 韓国ヤクルト 田口亮一 代表副社長代行

 今年の正月はソウルも日本も穏やかな陽気で、まことに良い正月でした。このまま春が来ればどんなに嬉しいことかと思ったのですが、そんなにうまくはいきません。1月も10日頃から急激に冷え込み、ソウルでは最低気温が零下10度を記録しました。そんな折、気温の急降下と共に私達在ソウル日本人の心胆を寒からしめる(これはチト大げさか)出来事が起こったのです。そうです、もうお分かりですね。例の「トクトはウリタン」の問題です。

 長く韓国に居られる方はこのハイテンポの、しかし覚え易い歌が15年位前に全国的に大ヒットしたことをご記憶でしょう。今考えるとこの歌の作詞をされた人もすさまじい人であったと感心しますが、でも歌にされてしまったんじゃ日本もお手上げでしょう。じゃあここでちょっと「独島」(日本名『竹島』以後『独島』で続けます)の領有権問題について復習してみましょう。

 あるジャーナリストは、「独島について日本は、日本の領土であると表記されている地図を根拠に領有権を主張しているが、韓国ではその論法なら対馬を我が領土と表記した地図を根拠に対馬の領有権を主張すれば良いことになると反発し、一歩も譲る構えはない。日韓双方が単なる岩山に固執するのは水産資源や海底資源の確保と云う経済的側面もあるが、軍事的側面も無視できないようだ」と指摘し、「独島は東島と西島があるから東島は韓国、西島は日本が分割支配すれば良い」と結んでおられるが、けだし名案と云うものでしょう。

 また今回の問題ぶり返しの発端となった独島の切手発行自体が、今更「ナ~ンデダロ」と腑に落ちないのですが、日本の方も「じゃあ、日本も竹島の切手を…」なんて子供のケンカみたいな事をいっていないで、領有権を主張するまっとうな根拠があれば正式に抗議するなりなんなりしなきゃ駄目で、いつも何か起きたときだけ文句を言っても相手にされません。

 独島にはもう大極旗が翻っているし、要塞らしきものまであるそうじゃないですか。実はこの原稿を書いているのが1月14日の午後なんですが、今朝10時から盧大統領の新年記者会見が開かれ一番最後に独島の問題が出て、「トクトの問題は…」とやや気弱そうな顔で始まり、「余り事を荒立ててもッチュ~か文化開放とも関連があるしイ~、両国関係がうまく行っているチュ~時にナンですなア~」と、愛国者の人が聞いたら引っくり返りそうな柔軟な答弁で私は好感が持てましたが、最後に「私の女房はいつも『これは私の女房だ、私の女房だ』と言わなくても誰が見ても私の女房なのだし、私もそう思ってる訳ですからそれで良いんじゃないですかア」という比喩には立派に笑わせられました。

 前には当欄で日本海・東海の呼称問題について書きましたが、今日の結論はやはり大相撲の呼び出し風に「ヒガァーシィー ハングックタァーン、 ニィーシィー イルボヌタァーン」ということにしておきましょうか。


  たぐち・りょういち  1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。