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2006/09/29

<随筆>◇ピッナリラ ノインポワー(輝け 老人パワー)◇                                            韓国ヤクルト共同代表副社長代行 田口 亮一 氏

 今年のソウルの初秋は快晴続きでまことに気持ちが良い。つい先日台風13号の影響で少し風が強く曇った日もありましたが、その後はコウイ(ほとんど)雲ひとつ無い「ハヌル ノップン カウル」(天高い秋)で一年中で一番さわやかで良い季節をマンキル(満喫)しております。

 さてそんな秋晴れのある日、私は秋山さんと吉田さんというお二人のノインブヌ(ご老人…チト悪いかな)の訪問を受けました。

 秋山さんは知る人ぞ知るロッテ百貨店開店時に三越より招請されて来韓され、同百貨店を大成功に導かれた流通業界のスーパースターなのです。その時の話で、今や老人パワーのウォヌチョ(元祖)ともいわれ日本のみならず世界の医学会の権威となられ、ノーベル賞受賞の話もチラホラ噂になっているという日野原重明先生の話が出まして、たまたま当社のオーナーが日野原先生のファンであり、そのことを秋山さんにお話したところ「チャルテッタ」(丁度良かった)、「今度米国在住で日野原先生の右腕になっている吉田さんを紹介しよう」ということでお知り合いになった訳です。

 秋山さんと吉田さんは旧制五高の同窓の関係で昔からのチングサイ(友人関係)なのです。そこで一つ驚くべき事実をお教えしましょう。私にも正確には分からんのですが、このお二人は話の内容からして、ほぼ間違いなく八十路は越えておられるだろうということです。

 そしてこのお二人が現在東奔西走して、やろうとしておられる事が、あの94歳の現役のお医者さんの日野原先生をソウルにお招きして講演をして頂こうというイベントの実現なのです。正直言って私はノモジョッスムニタ(のけぞってしまいました)。ところがお二人の話を聞いているうちに、世界を股にかけた老人パワーの凄さに気がつきました。

 日野原先生は「新老人の会」と云う会を組織され、去年はロサンゼルス、今年はアフリカ・オーストラリアと世界中を所狭しと駆け巡り、新老人の生き方について講演をされているとのこと。これは本当の驚きではないですか。簡単に云いますけどアフンネサル(94歳)ですよ!

 そしてまた、来年10月のソウル講演会開催を目指してロサンゼルスを拠点に東京・ソウルを何度もワッタガッタして緻密な計画を立てておられる吉田さん、それを助ける秋山さん共にヨドゥンサル(80歳)ですよ。アマ(恐らく)私ども凡人にはない、何か秘めたる情熱とでもいったものをどこかに隠し持っておられるのかもしれません。プロッスムニタ(羨ましい限りです)。

 私は普段の自分の生活が余りにも良い加減であった事、自堕落であった事を深く反省し、自分もこの方たちと同じ年齢になったら(チトムリか?)やはり他の人々に尊敬され又このように堂々とした生き方が出来るようにヤッカヌ ヌジョッチマヌン(遅ればせながら)今からでも努力していこうと考えた次第です。

 皆さんノインパワーの秘訣を今から少しずつでも見につけてオレオレサシプシオー。(長生きして下さい)


  たぐち・りょういち 1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。