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2007/01/26

<随筆>◇年賀状(ヨナジャン)の事◇ 韓国ヤクルト共同代表副社長代行    田口 亮一 氏

 今年の正月の三が日は暖冬の見本のようなもので、暮れの31日から正月5日まで、朝の最低気温が一度も零下にはならなかったものです。この時期のソウルの気候としては異例のことといえます。調子に乗って6日の土曜日にゴルフの約束をしたら、気温はそんなに下がらなかったものの、大雪に見舞われ、ゴルフ場クローズと、こちら方面では早々とつまずき、セサンシプチアンタ(世の中うまくいかん)と今年もなかなか難しい1年となりそうです。

 さて正月と云えば年賀状が来ますね。気の早い人が送ったものでは、11月の末頃にはクリスマスカードとの兼用で到着(これハングルでもトチャク、覚えやすいですね)するのがある。いくら世の中スピード化してると云っても11月末から「Happy New Year」と言われてもネェー。

 さてこの年賀状の目的はと言うと、日頃お世話になっている人、ご無沙汰してる人、今年もなんとなく役立ってもらえそうな人に、まァ自分の近況簡単報告、現在なお微妙生存継続中などをお伝えすることにあるとセンガクハヌデェー(思うのだが)、(急にここから怒り口調)最近の年賀状たるやモードゥ(ゼンブ)印刷されたあいさつ語(これもほとんどが英語)にご本人かどうか分からんが名前だけをチョコチョコとサインしてあるだけのものが大多数。

 私シャァ100枚近く年賀状もらいましたが、自筆で簡単なコメントが書いてあるのがたったの5枚。いつからこんなことになったのか。チェキムチャ、ナワラ!(責任者出て来い!)。もらっていて言うのも何ですけど本当にそんな年賀状は頂いてもムダですし、カードだって結構高いんだし、まことにナンピ(乱費)の極みです。

 新年早々怒ってばかりいても何にもなりませんので、ここで一つ100分の5のうちのコルチャク(傑作)年賀状をご紹介しましょう。差出人はNY郊外在住の吉田先生、前もここでちょっと書かせて頂いた日野原重明先生の秘書のようなことをやっておられる大先輩です(推定年齢80歳)。

 吉田先生はインターネットの寿命占いで「あなたは後何年生きることができるか」にアクセスされたそうです。酒・煙草やらない、女色できない?(先生すみません)魚・豆腐大好きで、プラス46年、ストレス皆無で世にはばかりプラス13年、最後に運の悪さでマイナス4年、合計プラス55歳で134歳まで生きるという結果が出たそうです。うらやましいというか少し怖い年賀状でした。

 最後に「アンタもせめて私よりは半年でも長生きしててくんしゃいね(何故か急に佐賀弁)」と書いてあったので、私も同様にアクセスしたところ、飲む、打つ、買うの3拍子見事にそろってるのと、運の悪さと性格の悪さがプラスされて、マイナス7年、ナント私メは、2000年に既に死亡が確認されていました。笑い事じゃないですけど、来年からはこんな面白い賀状を送って下さいネー。


  たぐち・りょういち 1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。