表題を見る早々「こいつはトウィ(暑さ)で頭がおかしくなったんとちゃうか?」と考えられる方、たくさん居られると思いますが決してそうではありません。私は本当に酒で煙草を止めたのです。特に60歳を超えて未だに超愛煙家という皆さんは参考にしてください。1月24日旧正月の始まり、いつものように東京に行き、夕方築地の寿司屋を皮切りに自由が丘の悪友がやっている店で痛飲し、深夜店を出て帰ろうとしたところで、また30年ぶりの友人とバッタリ出会い、午前3時ころまで飲んでしまったのです。どう考えても数年前に還暦を迎えたハラボジ(おじいさん)のすることではありません。翌日は食欲皆無、気力ゼロ。夕食の約束をした愚息がホテルに来ても飯代をあげて勘弁してもらい、とにかく眠り続けたのでした。私の方こそ愚親父になってしまったのです。
でも皆さんここ迄はナロソヌン(私としては)良くあることです。その翌日は朝6時起きでシャワーを浴びて身体はスッキリとしたのですが食欲は皆無、食堂で味噌汁を少し飲み、昼は何も食べない。午後6時に知人と鶏を食べに行くが食欲が依然としてわかない。飲み屋2軒に行きチューハイを飲むが、きついしうまくもないので午後11時ホテルに戻る。まァこのへんまでは私も経験としてあるので「最初の日がまずかったナ、明日は良くなるだろう」と軽く考えてたのですが、結論からいいますと次の日も朝、味噌汁とおかゆをほんの少し、昼はコンビニのサンドイッチ一切れ、夜は焼肉に行ったが全然食えず、冷たいウーロン茶を5杯も飲む。キョルクック(結局)3日間何も食べないのと一緒でした。そしてソウルに帰る日、荷物をまとめた頃から、立ち上がると心臓がバクバクする感じで顔の色が真っ白になる。(昔MBC放送で夏にしょっちゅうやっていた「伝説の故郷」キシン(幽霊)の顔色そっくりになりました。)ホテルの人に頼んで「救心」を買ってきてもらい、これを飲みましたが効果は余りありません。羽田のKALカウンターで手続き中に崩れ落ち、奥の救急室で1時間横になり、ほうほうの体で出国審査を終え、ラウンジでぐったりとしているとKALの人が来て、「どうしてもこの便でソウルに行かれるのでしたらこれをお願いします。」「飛行中に私の身に何が起きてもうちら関係ありませんけんね」と云うカクソ(覚書)。金浦に着いて病院に直行したところ、栄養失調で低血圧の状態で、立ち上がると血液が全部下に降りて行ってしまうとのこと。それから2日間リンゲルを打ち続け何とか蘇生しました。これをきっかけに45年間の喫煙をワンジョニ(完全に)やめて朝30分のウォーキングをケーソクケソ(続けて)やっています。6カ月が過ぎた今は「私は酒で煙草をやめました」と自信を持って言えますが、さて次は「私は で酒をやめました」になるのか、ちょっと怖い感じのこの頃です。
1943年満州国生まれ。東京都立大学人文科学部卒。69年ヤクルト入社、71年韓国ヤクルト出向。94年から同社共同代表副社長代行。