久しぶりに韓国映画を見に行って度肝を抜かれた。「霜花店(サンファジョム)」という高麗時代の王様の映画だが、今、一番人気ということで期待して行ったが、いきなり半裸の男性二人が絡み合い出したのにはぶったまげた。この二人は王様と愛人(男性)だが、最近、韓国の若い女性を虜にしているオルチャン(イケメン)同士。特に愛人のチョ・インソンはその甘いマスクで人気沸騰らしい。
男性二人の絡み合いの後は、王妃とチョ・インソンの濃厚なシーンが、これでもか、これでもかと繰り返される。全裸のチョ・インソンの逞しく均整の取れた体は男が見ても惚れ惚れするが、しかし、ちょっと激しすぎるんでねえの、とオジサンは心配になって回りの観客席を窺うと、若いカップルの群が肩を寄せ合って陶酔状態。「イヤー、参ったな」オジサンは一人で来たことを後悔しながら、それでも濃密な三角関係を堪能した。
ところでこの映画の人気の秘密は高麗王朝の秘密(?)をえぐる官能的なシーンだけでなく、イケメンスターの全て(全裸まで)が見れることにもあるらしい。そうです。今、韓国の芸能界にはイケメン旋風が吹き荒れているのです。今年から始まったKBS2の人気ドラマ「花より男子(だんご)」は視聴率トップを争っているが、その原因はなんと言っても主役4人(F4)のイケメン軍団に負うところが大きい。歌謡界でも、昨年の紅白ですでに日本でも馴染みのイケメングループ「東方神起」に続いて、新しいイケメンたちが続々と登場している。
当社の淑女たちに「今、最高の男性スターは?」と質問すると、「花より男子」のF4スターがダントツであった。「外見至上主義は何も今に始まったわけじゃない。韓流スターに熱狂する日本のオバサンだって同じ流れでしょう」と外野席の声が聞こえて来そうだが、イケメンとは別の世界で生きてきたオジサンとしては一言苦言を呈したくなる。「外見に惑わされるな。男の魅力は顔じゃないよ」と。
もっとも、韓国にも渋い演技派俳優は少なくない。99年に大ヒットした映画「シュリ」ではハン・ソッキュ、チェ・ミンシク・ソン・ガンホと大物演技派が勢ぞろいして実に圧巻だった。ぽっと出のイケメンスターでは絶対に出せない大人の味があった。深みがあった。
余談だが、当社の元社長のNさんは渋い個性派俳優のチェ・ブラムに瓜二つで、黙っていたら実物と間違われるくらい似ていた。本社から時々出張してくる別のNさんはややイケメンのパク・ジュンギュにそっくりで、飲み屋のアガシの人気を独占している。そして私は 、憧れのアン・ソンギ似だと主張するのだが相手にされない。口の悪い同僚(女性)が同情したのか「中年歌手のキム・チャンワンを少し崩したら似ているかも」。早速、インターネットで彼の写真をチェックして、自分の実力を思い知らされた。
おおにし・けんいち 福井県生まれ。83-87年日商岩井釜山出張所長、94年韓国日商岩井代表理事、2000年7月から新・韓国日商岩井理事。04年4月、韓国双日に社名変更。