韓国経済が勢いづいて、元気がいいらしい。反対に日本経済の先行きは暗い。民主党政権になって国家予算の見直しが進むなか、どうして日本はこんな無作為な税金の使い方をしてきたのか、納税者の怒りは増すばかりだ。
政権交代とはこういうことだったのか、と目からウロコが落ちる気がする。そして、経済界も元気がないまま、内部留保を守ることばかりを目的としているのではないか。やはり政権にもチェンジが必要だったのだ。いまになって思えば自民党は老獪なじいさんで、いつまでも自らが作った利権にしがみついた結果、日本は疲弊してしまったと思わざるを得ない。リーダー不在の政治のつけだ。
いま、世界一のリーダーシップを発揮しているのはアメリカのオバマ大統領だろう。若く自信に満ちて、自国民だけでなく世界中の人が彼の話に耳を傾けようとしている。
国でも組織でも強力なリーダーシップがあれば、多くの人間の士気は上がる。その視点からいくと日本人はリーダーシップが熟成しにくい国民性だと感じる。「ホンネとタテマエ」はリーダーを生かさず、かりそめのリーダーにならざるを得ない。日本人の特異な精神性は、世界に例を見ない素晴らしい文化を生み出す土壌でもあるが 。
その点、韓国はリーダーシップによって、いかようにも変わる国民性を持ち合わせているのではないだろうか? 少なくても今の韓国の経済界にはリーダーシップがよい意味で機能しているような気がする。儒教の文化は目上の人を敬い、無条件に言うことを聞く。韓国の企業の底力は、そこかしこの大小のリーダーたちが牽引しているのではないか。へこたれず、悲観せずリーダーに従うDNA。単純すぎる見方だと批判を覚悟で言わせてもらえば、の話である。
欧米人のビジネスマンによると、仕事の現場で韓国人と日本人の区別はつかないが、よく喋り、うるさいほうが韓国人だと思って間違いない、と何かの本で読んだことがある。私のオフィスの近くでも、ランチタイムに韓国人のビジネスマン(たぶんI商事系の商社マン)が6、7人固まって食後の喫煙タイムを過ごしていることがある。もちろん韓国語が聞こえてくるので韓国人だとすぐわかるが、外見は日本人ビジネスマンと見分けがつかない。
ただし、日本人は食後のリラックスタイムにたむろして話し込んだりしない。韓国人の彼らはいつ見てもほんとによく喋っている。私はその様子を見るたびに、いつもその近くで立ち聞きしたい衝動に駆られる。いったい、どんな会話が成り立っているのだろうかと 。その中にもリーダーがいて、何気ない会話にリーダーシップを発揮しているのかもしれない。
ユン・ヤンジャ 1958年神奈川県生まれ。在日3世。和光大学経済学部卒。女性誌記者を経て、91年に広告・出版の企画会社「ZOO・PLANNING」設立。2006年6月「㈱生活文化出版」設立。