ここから本文です

2011/02/25

<随筆>◇円滑な人間関係・10の秘訣◇ 韓国TASETO 大西 憲一 専務理事

 同好の士でいろんなサークルを作り、飲んで食べて時にはカラオケという集まり(韓国語ではモイム)は日本にも多いが、韓国はもっと多いような気がする。話大好き、酒はチョー大好き、歌はメチャ大好きの国民だから当然ですね。

 メンバーは会の性格によっていろいろだが、異業種からの参加が多いので会社生活では得られない人間関係を楽しめる。

 私も誘われるままに週1~2回のモイムに参加しているが、大半が飲んで食べて歌って終わるなかで、毎月第2土曜日のモイムはちょっとユニーク。飲み食いの前に真面目な勉強会があるのです。メンバーは韓国の老若男女に混じって日本人駐在員もチラホラ。日本語のレベルアップも兼ねているので勉強会の講師は主に日本人が担当している。

 先日は参加2回目の私に早々と講師のお鉢が回ってきたのでちょっと焦ったが、以前に某大学での臨時講義に使った教材を一部流用して、「円滑な人間関係・10の秘訣」という柄にもなく真面目なテーマでやってみた。

 いつも人間関係で失敗している男が選ぶテーマとは思えないが、失敗している者だからこそ、より真実味が出てくる…はずである。

 何も特別な秘訣ではありません。よく言われていることばかりです。キーワードをいくつかご披露しましょう。

①相手に関心を持つ。人は関心を寄せて来る人に関心を示すものです。
 私は関心を寄せた女性に振られたケースが多いが、例外はあるものです。

②話すより聞く。人は自分の話を聞いてくれる人に好意を示します。
 誤解を恐れずに言いますと雄弁な韓国人はちょっと苦手な項目ですね。

③相手を誉める。誉められたら誰でも嬉しいものです。
 日本では「豚もおだてりゃ木に登る」と言いますが、韓国にも「誉めたらクジラも踊りだす」という諺があるようです。でも、見え見えのお世辞はダメですよ。

④いつも笑顔で。相手に気持ちを伝える時は「55%は顔の表情で決まる」という偉い学者の報告があるくらいです。

⑤ジコチュー(自己中心)からの脱皮。いくら歌に自信があってもカラオケでマイクを離さない御仁は気をつけましょう。

 反応は予想外によかったですね。中年の女性は「私は夫や子供を誉めるのが苦手だが、これからは誉めます!」。長老の男性からは「目から鱗です。もっと早く聞いていたら私の人生は変わっていました」。お世辞とは分かっていてもグーッと胸に来ました。

 その後はお楽しみの飲み会、そしてカラオケへ。韓国人はみんな声量があってプロ並みだ。特に先ほどの長老さんは日本の古い歌を朗々と歌いこなす。マイクは絶対離さない。


  おおにし・けんいち 福井県生まれ。83―87年日商岩井釜山出張所長、94年韓国日商岩井代表理事、2000年7月から新・韓国日商岩井理事。09年10月より韓国TASETO株式会社・専務理事。