米国CNN放送「CNN GO」の旅行情報サイトによると、本年必ず行くべき旅行地7カ所のナンバー1に「麗水世界博」を選んでいる。ロンドンオリンピックは5位である事を見ると、注目度と話題性が高い世界イベントである。
今夏の最もホットな人類の祭典「生きている海、息づく海岸」をテーマにした「2012年麗水世界博覧会」が、全羅南道麗水市で8月12日まで開催されている。
閑麗(ハンリョ)水道は「韓国のしまなみ」と称えられ、東の閑山島から西の麗水に至る地形は、日本の瀬戸内海にも優る美しい海岸線で彩られている。リアス式の黄海と南海に浮かぶ2千余の島々が星の様に点在し輝いている風景は絵の様な島の天国である。
数多くの島々が織り成す港町、麗水の日の出、そして夕日の光のシャワーは、タゴールが韓国を東洋の真珠と称賛するに値する珠玉の都市である。韓国の国力向上の施策、新しい南海岸時代を開き、世界五大海洋国入りへの飛躍するビジョンを掲げ、1993年麗水市は、大田博の成功に続いて、麗水世界博誘致に名乗りを上げたのである。
人口30万地方都市が挑んだハードルは果敢なるものである。成せば成る精神で苦節16年、紆余曲折、試行錯誤があったが、試練を乗り越え開会に漕ぎ着けた。
会場の中心に設置された「Big-O」は高さ100㍍にまで噴き出す水が拡散され、水玉スクリーンとなって映像が映し出される装置は最先端テクノロジーの粋、その創造性に眼を見張った。海と陸地の間をイメージした博覧会のシンボル、一番の人気スポットである。
組織委員会は会期中の観客動員1000万名の目標を立てたが、出だしから会期折り返しまでの入場者数は目標に達していない。そこで「麗水の奇跡」を起こすべく、新しい企画イベントを組み懸命である。残り少ない会期中に漢江の奇跡の様な事が麗水に起きるであろうか。
日本館では東日本大震災の津波で破壊された光景をバックに、少年をメッセンジャーとして逞しく復興していく被災地や日本の姿を、アニメを使って大型スクリーンで映し出していた。世界からの支援や韓国からの一番乗り救援隊支援に対する感謝があった。自然の惨状に負けず、猛々しく立ち上がっていく姿に感銘を受け、敬意の念が湧いた。災害復興に、これからも物心両面の支援を惜しむ人はいないだろうと感じる程のインパクト、心動かす展示館であった。
韓国館は、海の物語で綴られた「海と人類の共存、人類の未来を見つめる」がテーマ。韓国の海洋史、暮らしと文化、海洋利用の3部構成。美しい沿岸、松林の叙情的映像は芸術作品である。パビリオンは閉幕後も記念館として使われるという。世界に発展する韓国の姿を披露出来る事を誇りとし、麗水の奇跡は必ず起きるという一念である。今からでも遅くない、麗水万博を訪れよう。
ハ・ジョンウン 1939年東大阪市生まれ。韓国・朝鮮大学校美術学名誉博士。光州市立美術館名誉館長。ソウル特別市、釜山広域市、光州広域市名誉市民。財団法人秀林文化財団理事長。