ここから本文です

2012/11/30

<随筆>◇ニュー釜山スタイル!◇ マッカン・ジャパン 大西 憲一 代表

 先日、東京ビッグサイトで開かれた「ロングステイ・フェア2012」を覗いてみた。さては物価の安い外国に夜逃げするのか、と友人に冷やかされたが、まだまだ現役バリバリ(のつもり)の私にはそんな気はさらさらない。今回は、韓国の釜山も参加するので現地の知人から応援を頼まれたのだ。

 会場に行って驚いた。雨天にもかかわらず超満員。事務局の発表では約1万人が訪れたようだ。定年を過ぎた老夫婦に交じって、中年や若者も多い。今の混迷した日本の政治や長い不景気を見ると、早々と日本脱出を考える気持ちは分からぬでもない。

 フェアにはロングステイ誘致のために多くの外国がブースを設けていたが、メインのASEAN諸国や豪州、ニュージーランドに加えて、欧米も力を入れていた。ちなみに、2011年のアンケートによるロングステイ人気国は、マレーシアが6年連続で1位。続いてハワイ、タイ、豪州、カナダがベスト5となっている。

 マレーシアの人気の秘密は何だろう?まず、自然が豊かで気候温暖、政権安定、物価が安い。対日感情も悪くない。さらに10年間滞在ビザも簡単に取れる。要は住みやすいのだ。

 6位以下もニュージーランドやフィリピンが続き、アジアのリーダー格の中国や韓国は入っていない。これではならじと、今回は釜山市が乗り込んできた。日本から韓国への観光客は年々増加しており、今年も10月までに前年比14%増の300万人を突破したが、2週間以上滞在の、いわゆるロングステイは少ない。

 「ロングステイ財団公認釜山サロン」が大きなブースを設け、「韓国文化の扉を開きませんか?」をキャッチフレーズに、釜山市や済州島、光陽港、医療観光のコビズ、さらに新羅大学などが出展、セミナーも開催し、釜山の魅力を精一杯アピールした。

 ロングステイ用のマンションも海雲台に計画中で、その名も「ロングステイ・テル」。手ごろな価格で日本からの投資対象にもなるようだ。

 ところで釜山にはすでに、恵まれた自然にグルメ、韓流、エステ、ショッピング、カジノなど魅力的なカードがいっぱい揃っているが、さらに長期滞在者を惹きつけるインパクトのあるカードは何だろう?

 キーワードは韓国文化に医療と教育。美容整形を含めた医療観光や語学研修はかなり成果を上げている。語学だけでなく、韓国お得意のITなど先端技術を駆使した国際人養成学科も増えているようだ。

 伝統を誇る陶芸やK-POP育成授業、それに今や実力世界一のゴルフ英才教育も取り入れたら面白い。中核となる観光産業に加えて、古い伝統文化と先端技術がミックスした「ニュー釜山スタイル」の深化を期待している。


  おおにし・けんいち 福井県生まれ。83―87年日商岩井釜山出張所長、94年韓国日商岩井代表理事、2000年7月新・韓国日商岩井理事。09年10月より韓国TASETO専務理事。2011年9月よりマッカン・ジャパン代表。