韓国の国技(?)テコンドーは漢字では「跆拳道」と書く。「拳」は手のこぶしのことだが「跆」は辞書によると「足を上げて踏みつけること」とある。だからテコンドーは手と足の両方を使うが、どちらかというと足を使う武道ということになる。つまり相手を足で蹴り倒して踏みつけるのがテコンドーの技の中心ということになる。
そのせいか韓国ではケンカとなると足蹴りが必ず登場する。日本ではケンカは「手を出す」というようにもっぱら手で殴るが、韓国では「足を上げる」ことになる。韓国で小中学生が登下校などの際、じゃれあっている風景でもよく足を上げて蹴り合っている。小さな女の子でもよく相手を蹴っている。
テコンドーが子供たちのスポーツ塾として一般的になっているせいかもしれないが、足蹴りは日本人には日常的でないので、子供たちの足蹴り風景は時に異様に見える。とくに女の子の場合そうだ。
ところで最近、ネットのアマチュア映像で若い男女が街頭で争っているシーンが話題になった。女が男の髪の毛をつかんでもみ合うなど女の攻勢が目立ち「女性による暴行シーン」として注目されたのだ。女は今流行りの超ミニのホットパンツ・スタイルのファッショナブルな“太もも娘”。その女性が男にしきり足蹴りを加え、ついには蹴り倒して踏みつけてしまった。男の方はじっと“我慢の子”で、反撃を控えされるがままになっていたのは立派(?)だった。あの足蹴りはすごかった。韓国では男女のケンカで女が男に足蹴りをかますのだ!
アメリカのプロ野球メジャーリーグで、韓国の朴賛浩投手が活躍していたころ、判定か何かをめぐって両チームの選手がワーッとベンチを飛び出し“乱闘”になったことがあった。朴もそれに加わったのだが、その際、朴だけが足蹴りを使ったため問題になり、後で制裁処分になった。
あの時も「韓国人はすぐ足を上げる」姿が印象的だったが、米国ではこぶしを振り上げるのはいいが足蹴りはマナー違反なのだ。だから制裁の対象になった。韓国で女性が足蹴りをやるのは、韓国がスカート文化ではなく“パジ(ズボン)文化”だからかもしれない。韓国の女性の韓服はチマ(スカート)の下に薄手のロングパンツ風のズボンをはいている。だから韓国女性は平気でよくあぐらをかく。
習慣だろうか、現在でもジーパンやホットパンツの若い女性がコーヒー店やレストラン、長距離バス、列車などであぐらをかいているのは実に幻滅だ。ましてや足蹴りなど 。ビジネスや留学、観光など韓国人の海外進出が目立つが、いかにテコンドーの国だといってもとくに海外では足蹴りは遠慮してほしい。もてなくなった日本アジョシの嫉妬(?)だろうか、韓国でも若い女性への不満が多い今日この頃であります。
くろだ・かつひろ 1941年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。共同通信記者、産経新聞ソウル支局長を経て、現在、ソウル駐在特別記者兼論説委員。