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2016/03/11

<随筆>◇帝国の米◇ 広島大学 崔 吉城 名誉教授

 私の生まれ故郷の田舎では、見世物はほぼなかった。結婚式や葬式、農繁期には農楽隊の風物ノリが見られるが、それだけであった。子供の私には韓国戦争中の飛行機の衝突などは大きい見世物であった。私の幼い時には五日市が開かれ、そこで雑戯俳優の広大(グァンデ)が綱渡りをするのを一回見たことがある。その光景は最高の見世物であった。綱渡りは最高の見せ物であったのである。綱渡りは韓国戦争直後には見ることはなかったが、ずいぶん後にソウルで復元された綱渡りを見て、感慨無量であった。


つづきは本紙へ