ジョゼ・サマラーゴの小説『白の闇』は、ある日、突然、目が見えなくなった人々の話である。見えない病にかかった人々が収容所送りにされる。だが、収容所を管理していた軍隊にまで病は広がる。一方、あちらこちらで犯罪が起き、社会は機能しなくなる。社会のもろさ、人間の醜さと助け合いを巧みに描いた作品である。では、ある日、突然、話ができなくなったら、どうなるのだろうか。ことばを奪われた静かな地球。コミュニケーションが取れなくなった人々。そこにあるのは、平和だろうか、『白の闇』のような地獄だろうか。
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