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2020/09/04

<随筆>◇『わたしに無害な人』◇ 金 珉廷さん

 誰しも一度はつらい別れを経験しているはずである。初恋の人、親友、家族、仲間…。気まずくなり、ぎこちなさを隠せなくなり、どちらかともなくケンカをふっかけ、別れ、数年後に思い出す。あの頃が良かったのか、いま考えてもよく分からないが、その経験が今の自分を作っている。『わたしに無害なひと』(亜紀書房、古川綾子訳)には別れを振り返る人々の物語が7編収録されている。


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