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2021/05/21

<随筆>◇ミナリ畑が広がる美音里で◇ 呉 文子さん

 口が悪くて、料理も苦手、得意なのは花札だけ。孫に花札を教える破天荒で無学な祖母スンジャ役を演じた尹汝貞(ユン・ヨジョン)が、『ミナリ』で韓国史上初のアカデミー助演女優賞を受賞した。トロフィーを手にした彼女は、「私は競争を好みません。少しだけ運が良かっただけです」。またアジア映画の躍進とハリウッドの多様性の拡大については、「虹にも7つの色があるように、すべての色を組み合わせてより美しくしていかなければなりません」。さらに「男性と女性で区分したり、白人と黒人、黄色人種で分けたり、同性愛者と異性愛者で分類したくない」と強調し、民族差別やジェンダーフリーにも言及して、ネット上で話題をさらっている。

 『ミナリ』を観ながら、韓国の農村がまだ貧しかったころ、義父母の墓の移葬式に参加した夫の故郷でのミナリ(芹)畑が思い出された。1986年の早春のこと。前夜から降り始めた猛吹雪で、日航機が飛び発てるかどうか不安でならなかったが、機体は大きく揺れながらも1時間ほどで金海空港に着いた。東京の大雪とはうって変わって春霞に包まれた滑走路の周りの芝生には、ちらほらと新芽が芽吹き始めすっかり春の装いだった。


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