私が初めてBC級戦犯のことを知ったのは、在日女性たちが発行していた同人誌『鳳仙花』14号に掲載された鄭理恵子さんの随筆「BC級戦犯だった義父」による。
「今年も熱い陽射しのもとムグンファ(木槿)が美しく咲いています。義父が大好きだったムグンファを眺めていると、あの日のことが脳裏をよぎります。義父の葬儀の日、太極旗と庭に咲いている白いムグンファ一枝を手折り棺に添えました。それは故郷の土に還ることのできなかった義父へのせめてもの心尽くしでした」との書き出しから始まり、68歳で亡くなった元BC級戦犯の義父やその仲間たちの悲惨な生涯をたどる内容だった。その後、鄭理恵子さんの案内で何度か集会に出かけ李鶴来(イハンネ)さんの話を聴いた。
太平洋戦争中、タイとビルマをつなぐ泰緬鉄道は日本軍により建設された。李鶴来さんは17歳の時、故郷で日本軍の軍属として働くことを勧められ応募した。
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