「一人の在日朝鮮人、韓国人」に過ぎない私ではあるが、在日の保護者会活動を始めた頃から、主に高校の人権学習の時間に講演をさせていただくようになった。与えられる時間は、多くの場合50~60分。短い時間ではあるが、貴重な時間だ。拙い話からも、高校生はみずみずしい心でさまざまなことを感じ、受け取ってくれる。以下、感想文からの抜粋を紹介する。
《僕は、初めのポイントである自分が自分であることを大切にできなかったから、皆さんには大切にしてほしいというところが、心にグッときました。》
《「友達を大切に」という言葉が今の私には印象に残ったし、私の何かが変わった気がしました。なので、今後も友達を大切にしていきたいし、本音を言い合えるような友達を作っていこうと思えました。》
《 「自分が韓国人」ということは、自分で選べないことであり、努力でどうにかできることでもないのに、固定概念だけで人を傷つけるのは絶対に違うと思った。 誰もが一人の人間として接することが必要だと思う。》
《確かに私の中にも〇〇人といえば○○という偏見がある。口には出さないが頭では考えてしまっている。 「無知」がそういう差別・偏見の原因なので、これからは、こちらの考えだけで意見するのではなく、「既知」の状態で行動をしたい。》
《 もし自分が在日外国人であったら耐えれないと思います。そのような事に耐えている方が多くいることを知り、必ず差別をなくして、インターネットのデマやヘイトスピーチがなくせる世の中を作る必要があると感じた。》
《中学の友達のお母さんにも在日韓国人の方がいて、仕事のことや、色んな所で困ることがいっぱいあると言っていたのを思い出したので、多くの人が悩んでいるのかなと思いました。 多くの人々を支え合っていきたいと思いました。》
《歴史の授業は、現在とは切り離された過去のものという考え方から、その歴史によって今があるのだということが感じました。 自分は関係ない、自分は差別なんかしていないといったことは、無関心なだけであるのだと気付かされました。少しでも何か自分が行動をできることから考えていきたいと思いました。》
《本当の歴史を知ることで、今まで知らなかったことが浮かびあがってきて、自分がまちがったことを思い込んでいたりすることがあるので、真実を探ることが大切だと思いました。またそれを知ったときに、その後どうやって行動するのかも大切だと思いました。》
私自身はふり返ってみて残念なことや取り返しのつかないことも多いけれど、未来に生きる高校生の前向きな姿勢に少しでも参考になれるのなら、こんなにうれしいことはないと思っている。