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2021/08/20

<随筆>◇スポーツナショナリズム◇  広島大学 崔 吉城 名誉教授

 東京オリンピックはやっという感じで開かれたが、見所が多くてよかった。最初は日本側五輪会長の森氏を引き下ろすことから始まったようである。最も多く使われる落し穴は失言、差別語だ。女性差別語、さまざまなハラスメントは、メディアが利用しやすい餌である。引っかかると倒れるに決まっている。

 それは業績や能力の差別ではなく、言い訳が全くできない無防備攻撃だ。一般的には、失言や妄言のような言語生活、その生き生きした言語生活が難しくなった。書かれた原稿を朗読するのが日常的になった。フロイドは「失言(slip)こそ本意を反映するもの」と言っているが、それほど深く考えていない。

 これは日本文化の重要な特徴であると思う。


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