『私は男でフェミニストです』を昨年翻訳してから、第2作目の翻訳にやっとたどりつけた。ソ・ユミの小説『終わりの始まり』(書肆侃侃房)である。とある4月に起きた切ない別れの物語だ。
主人公ヨンムは30代後半、簡易郵便局で局長として働いている。妻のヨジンとはあまりうまくいっていない。小さい頃、父の死の現場を見てしまったヨンムは心の奥に孤独と喪失感を抱えており、人を愛し、受け入れることが苦手だ。春がまさに始まろうとしていたある日、ヨンムは母親から電話を一本受ける。「胸が苦しい」という母の訴えに一緒に病院に行くと、母ががんであることを告げられる 。
つづきは本紙へ