韓国の東義大学からの招きで学術シンポジウムに参加することになり、3月30日に金海空港に着いた。金海空港から市内に出る国道の街路樹は見渡す限り桜並木で、車窓からの眺めは、まるでピンク色の雲海のただ中にいるような錯覚さえ覚えたほど。韓国人がこんなに桜を愛していたのかと意外だった。
シンポジウムのテーマは「在日韓国人の重層的表象」。私のテーマは「私の家族にとっての帰国事業とは」。主に『楽園の夢破れて』の著者の娘である私が、朝鮮大学で教鞭をとっていた夫との狭間で、どのようにつらい立場に追い込まれ、やがて組織と訣別することになったのか。それまでの10年間のプロセスを中心に話した。学術シンポジウムの場に研究者でもない私が発表の場を与えられ、重責でかなりストレスを感じていたが、自分の歩みの一ページを語るのだと開き直り、当日を迎えた。
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