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2023/11/03

<随筆>◇全羅道からのお客様◇康 玲子さん

 夫の家族は全羅南道(チョルラナムド)出身だ。夫の両親の世代まではわずかに行き来もあったが、私たちの世代では途絶えてしまっていた。そんな夫の本籍地を訪ねる旅に出たことがある。6年前のことだ。

 もう親戚は誰も住んでいないだろう、ソウルに引っ越したということだから……と言いつつ、私たち2人は小さな島にある里を目指し木浦から船に乗った。下船すると、マイクロバスがまさに出ようとするところ。「どこそこへは行きますか?」とカタコトの韓国語で訊き、大急ぎで乗り込む。降りると、あたりには畑が広がるばかりで人家もまばら。帰りのバスはあるのかしら?最終の船が出るまでに港に戻りたいけれど……。


つづきは本紙へ