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2024/10/11

<随筆>◇京都中世庶民史の風景◇板井一訓さん

 我が家から京都市内及び大津市のほぼ全域が30分あれば行ける。この2年間、週に2度くらい、3時間ほどの街歩きを無理のない程度に楽しんでいる。

 最近のテーマは中世の遊手浮食の輩。都の周縁部に小さな集団で、あるいは一人ですみ遍歴・浮浪する人々の事。交易のため移動する武装商人団、仕事場をもとめて遍歴する手工業者達。傀儡(クグツ)・遊女・猿楽の徒・琵琶法師・説経師などの芸能者。遊行僧・陰陽師・歩き巫女などの下級宗教者。また博打の輩。それだけではない。荘園・公領から逃亡し、浮浪する人々。不具や業病の不幸を負って、物乞いして歩く人々。人買いに売られてつれられていく人々もいたであろう。これらの人々のたむろした地域の町並み・地形・臭いや音を感得し、往時の風景に想いを馳せる街歩きである。


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