韓国の銀行業界が大再編され、資産規模で世界100銀行に入る大超大型銀行が2つ誕生しそうだ。金融監督委員会がまとめた第2段階金融構造調整の推進方向によると、来年3月をめどに市中銀行のハッビット銀行と平和、光州、済州、慶南の4つの地方銀行を政府主導の金融持ち株会社に子会社として編入する。
政府の傘のものに再出発を期そうというものだ。一方、これはまだ確定していないが、ハナ銀行と韓美銀行に加えて複数の優良銀行の統合交渉が進められており、これらの大合併が実現する可能性もある。
政府主導で設立する金融持ち株会社は、不良銀行を統合して蘇らせるための苦肉の策とみられている。対象となるのは、すでに公的資金が投入されている自力再建が困難な銀行ばかりだ。優良銀行にくっつける案も有力視されていたが、共倒れになる可能性が高いため見送られた。結局、公的資金を再度投入して、政府管理のもと再建を期すことになったが、国内大手のハンビット銀行が主軸になる見通し。現在外国への売却を進めているソウル銀行も、来年6月までに売却先が決まらなければこの金融持ち株会社に加わることになる。再度投入される公的資金は7兆ウオンが予定されている。
金融持ち株会社に編入されるこれらの銀行は、来年9月末までは現在の姿を維持するが、その後は全く違う姿に変貌する。例えば、ハンビット銀行は企業向け専門銀行に、地方銀行は個人向け専門銀行へと機能を変える。また、ここには総合金融会社も編入させる予定で、投資銀行を役割を担わせる計画だ。
一方、これとは別の巨大銀行が誕生するかどうかは、現在水面下ですすめられている国民銀行、住宅銀行などの優良銀行同士の統合が鍵を握っている。すでにハナ銀行と韓美銀行は合併交渉が大詰めに入っており、この合併銀行をも吸引するリーディングバンクがどの銀行になるのかが注目されている。
これと関連、金融監督委関係者は「これまで統合に消極的だった大型優良市中銀行が国内の経済状況と未来の営業見通し、国際的な流れなどをにらんで積極的な姿勢に転換、統合交渉をすすめている」と明らかにした。この統合交渉には新韓銀行や公的資金を受けている外換銀行なども加わっているという。
政府は、経済の持続的成長基盤を構築するため、金融構造調整の早期終結を至上命題にしている。だが、順調に進展するかどうかは未知数の部分もある。
98年の第1段階金融構造調整では経営悪化した有力市中銀行の合併、総合金融会社の大量閉鎖などの荒療治でIMF危機を金融面で乗り越えた。公的資金を大量に投入してのこの構造調整は海外では高く評価されたが、合併で再出発したハンビット銀行の経営悪化が象徴するように再度、構造調整が必要となった。
しかし、銀行の統合・再編をめぐっては政府内でも様々な論議があり、容易に結論を下ろせなかった。年末を控え、やっと大枠が固まったが、前途に難関があるのも事実。銀行の統合・再編は各銀行の自主性に任せることを政府は確約しており、すんなり政府の意向通りにいくかという問題がある。すでに、大量リストラを心配する金融労組側は、今年7月に政府と締結した「労政合意書」を無視するものだとゼネストも辞さない構えだ。