LG電子とオランダのフィリップスのブラウン管事業が統合され、シェア27%を超す世界最大のメーカーが登場することになった。LG電子とフィリップスは両社のブラウン管事業部門を分離、50対50の出資比率で新しい合弁法人を来年6月をめどに設立することで合意した。
これで新会社は世界市場で競争力をさらに強化することになる。電子業界は世界的に競争が激化しており、今回の業界2位と3位のブラウン管事業統合は、国境を超えた業界の専門化に拍車をかけそうだ。
具滋洪LG電子副社長とジェラルド・クライストラー・フィリップス会長がソウルヒルトンホテルで結んだ包括的提携によると、新会社は従業員3万4000人、年間売上60億㌦規模の世界最大のテレビ・モニター用ブラウン管専用メーカーとして誕生する。経営は共同であたり、両社がCEO(経営最高責任者)とCOO(経営担当社長)をそれぞれ指名、3年ごとに交代する。ちなみに昨年のブラウン管事業の売上規模は、フィリップスが30億㌦、LG電子が20億㌦だった。
今回の合弁法人の設立契約でフィリップスは、LG電子のブラウン管部門の資産価値が自社の同部門よりも11億㌦高く評価されたことを認定、LG電子側にその金額を支払うことになった。LG電子の世界トップ水準のフラット技術と高い成長性が評価されたという。
LG電子はこの大型外資導入で、この間金融市場で出回っていた資金危機説を払拭でき、他部門への投資余力ができると期待している。LG電子はさらに自社株売却などを通じて資金調達を強化し、LG通信との合併過程で悪化した負債比率284%(負債額8兆7572億¥ウオン¥)を年内まで200以下に引き下げる計画だ。
合弁法人の事業分野は、テレビ用ブラウン管(CPT)とモニター用ブラウン管(CDT)、偏向コイルなど。ブラウン管の合弁法人の本社は香港に設立することで検討されており、米国、ヨーロッパ、中国、アジアの4地域に製造と営業を統轄する本部を設置する。
ブラウン管の世界市場占有率は今年度予測でフィリップスが14・8%で2位、LG電子は12・9%で3位を占めている。今回の提携で現在1位のサムスンSDIの21・8%を抑え世界1位のメーカーに浮上する。
最近ブラウン管業界では、超一流の技術を保有するメーカーしか生き残れない、という危機感が広がり、仏トムソン社も他メーカーとの合併を模索中と伝えられている。関連業界の専門家らは「LG電子の完全平面およびCDT技術とフィリップスの大型CPU技術がうまく結合した時のシナジー(相乗)効果は大きい」と語る。実際、LG電子はモニター用ブラウン管に強く、フィリップスはテレビ用でシェアが大きい。これで、全世界に市場を広げ多機種のブラウン管を優先的に提供する強力なトップメーカーになりそうだ。
■大型提携時代の幕開け
テレビやパソコンに広く使われているブラウン管。この分野は、韓国が圧倒的に強い。世界シェアをみてもトップのサムスンSDI、3位のLG電子、6位のオリオン電機の上位3社だけで半数近い45%(今年予測)。生産量で1億1090台に達する。
だが、液晶が急速に需要を伸ばしており、ブラウン管業界は集約化が迫られていた。こうした中での業界2位のフィリップスと3位のLG電子の国境を超えたブラウン管事業統合が実現することになり、業界に大きな波紋を広げている。
実は両社にとって、これは生き残りをかけた大提携の始まりにすぎない。続々と多分野での提携が待ち受けている。すでに、昨年両社はTFT-LCD(薄膜液晶表示装置)部門で合弁し、共同で経営している。この過程でLG電子は16億㌦の外資を誘致し、今回のブラウン管事業提携のきっかけとなった。
今後、移動通信の端末機事業でも合弁を推進することで意見が一致しており、フィリップスのクライストラー会長は「無線端末機部門でも競争が激化しており、協力問題を継続論議しえる」と提携に前向きだ。フィリップスとしては、世界的なCDMA(コード分割多重接続)技術が魅力的だ。
まあ、次世代事業のPDP(プラズマディスプレーパネル)でも合併の可能性が高いという。この事業では莫大な資金がかかり、技術力を持つLG電子と資金力のあるフィリップスの利害は一致すると見られている。
LG電子は一方で、日本の日立との間でCD―ROMドライブなど貯蔵部門の研究開発などで合弁法人を設立するなど提携先を広げている。最終的には冷蔵庫など白物家電だけを残しすべての事業を合弁化し、LG電子はいくつかの事業子会社を率いて管理だけを遂行する持ち株会社に変身する構えだ。生き残りを賭けた新たな戦略が成功するの注目される。