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2000/11/24

<総合>巨艦・現代が再編成へ

 流動性(現金)危機に陥っていた現代建設が自力再建する基盤をつくった。難航を重ねていた再建案がやっと確定、鄭夢憲・現代アサン理事会会長が約1兆3000億ウオンの資金をねん出、負債償還などに充てると発表した。

 このような再建案を発表できたのは、犬猿の仲になっていた鄭夢九・現代自動車会長との不仲が解消され、現代自の支援が得られたことが大きい。政府と債権金融団は、これで今年3月から続いていたお家騒動も一段落したとみて、来年からは新規資金支援する方針だ。一方、これを契機に現代グループは核分裂を加速、建設、自動車、重工業に大きく三分割され、財界版図も塗り変えることになった。

  再建案の核心である資金調達内容は、鄭周永・前現代グループ名誉会長と夢憲会長らオーナー一家の私財供出を含む総額1兆2974億ウオンの資金を自力調達するというもの。

 具体的には、①鄭前名誉会長の会社債を出資転換(1700億ウオン)②鄭前名誉会長の現代自保有株式3・69%売却後出資(900億ウオン)③夢憲会長の系列会社保有株式売却後出資(400億ウオン)④瑞山農場の売却(6000億ウオン)⑤本社ビル売却(1620億ウオン)⑥仁川製鉄の工場敷地売却(290億ウオン)⑦現代建設保有の現代商船株式売却(290億ウオン)⑧分唐ハイフェリオンなど産業用資産の売却(1664億ウオン)などからなる。
 このような再建案の実行で、現代建設の負債5兆800億ウオンを年末までに4兆3000億ウオンに減らし、来年上半期(1―6月)までには4兆ウオン以下に減らすことが出来るという説明だ。問題は実効性いかんであり、瑞山農場や本社ビルの売却先がまだ決まっていないなどの問題があるが、メインバンクの外換銀行では「現代建設を含むグループ次元でできることはすべてやった。オーナーの出資転換は高く評価できる」と歓迎、「再建策の履行実績などをみて新規資金支援、満期再延長などを論議した」と応援姿勢を明確にしている。

 債権団では、負債が4兆3000億ウオン規模であれば営業利益で利子を返済できるとみている。また、現代建設側は「海外工事受注残高が22兆ウオンに達し、3年分の仕事量を確保しているので、当面の資金難さえ解消できれば問題はない」と楽観している。

 だが、今後体質の大幅改善は避けられない。夢憲会長も、「組織を統廃合し、人員を大幅に減らす。このため、役職員の資質を再審査する」と明らかにしており、近くリストラ突風が吹き荒れることになりそうだ。現代建設の従業員は7100人にのぼり、どの程度の人員削減になるかのか戦々恐々といったところだ。

 今回の再建案は、現代建設が先月30日に不渡りを出してから22日もかかった。最終的には、夢憲会長が16日に現代自動車の夢九会長を訪問、支援を要請、和解したことが大きい。夢九会長は過去は水に流し可能な限り支援すると約束。具体的には鄭前名誉会長が保有する現代自株式 や現代電子株式の売却などに協力することになった。だが、現代建設の流動性問題は完全に解決してわけではない。災い転じて福となるかは、今後の再建努力を見守る必要がある。なお、夢憲会長は、さる5月の父子退陣により現代建設会長職から退いたが、今回の再建策を契機に経営の第一線に復帰する意思を表明している。

 ■財閥の版図にも変化
今回の再建策を契機に、巨艦、現代グループが建設、自動車、重工業に三分裂し、電子と金融は売却されることが確定した。すでに現代自動車は9月に系列分離し、二男の鄭夢九会長が経営権を握っている。世界1の造船建造実績をもつ現代重工業は6男の夢準顧問
が率いて来年6月までに独立する。5男の夢憲会長は現代建設と現代商船を軸に、建設事業と対北朝鮮事業に集中することになるが、「目立った未来産業がない」と厳しき見る声もある。

 これにより、99年まで韓国最大だった現代グループは系列会社17社を擁する財界序列5位の財閥に没落することになった。半面、現代自動車は4位に上昇、独立経営基盤を強化する利得を得た。現代重工業も新たに9位の専門財閥として独立の道を歩む。
 
一方、現代証券など金融部門は現在AIGと売却交渉が進められており、来年末までには海外売却などを通じて系列分離される。現代電子など電子部門も来年6月までに系列分離される。

◆財界順位◆(単位・社、兆ウォン)

グループ 系列会社 資産総額
1サムスン  45   67.4
2LG     43 47.6
3SK   39 40.1
4現代自動車 11 34.0
5現代 17 25.4
9現代重工業 3     11.8